| 研究課題/領域番号 |
23244090
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
井出 哲 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90292713)
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| 研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 巨大地震 / 微動 / 沈み込み帯 / データ解析 / 地震活動 / 地震波エネルギー |
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| 研究実績の概要 |
深部微動のエネルギーについて全世界的研究を行った。日本、カスケード、メキシコ、チリの各地域について、サイト増幅特性をコーダ波を用いて規格化し、連続的な微動シグナルに対して地震波エネルギーを推定した。地震モーメントと比較したところ、エネルギー・モーメント比に顕著な空間分布の違いがあることがわかった。この分布様式の違い各地域のゆっくり地震のふるまいの多様性の原因と考えらえる。
世界の微動のカタログを作成し、インターネットで無償公開した。カタログは上記4地域に加えて、台湾、ニュージーランド、カリフォルニアを含む。このカタログを用いて微動の継続時間、繰り返し時間、潮汐応答の間に地域的な違いがあることをあきらかにした。
ゆっくり地震と比較するために、普通の地震に対するエネルギー・モーメント比のスケーリングの再検討を行った。コーダ波を用いたエネルギー推定コードを開発し、東北地方の繰り返し地震に適用した。今のところ既往研究と調和的な結果が得られている。東北地方では2011年東北沖地震の階層型パッチモデルを作成し、過去の地震活動をもとに、観測地震動と調和的なパッチモデルを作成可能であることを示した。
世界中の沈み込み帯で発生する繰り返し地震を探索し、その地域的特徴を定量化した。定常地震活動度をETAS法を用いて推定したところ、沈み込み帯のプレート運動速度と地震活動度の間に明瞭な正の相関を得た。但し巨大地震とゆっくり地震の発生する沈み込み帯ではプレート運動速度から期待されるほどの地震は発生していないこともわかった。地震活動度と将来の地震リスクには負の相関があるかもしれないという重要な結論を得た。
これらの研究成果は論文としてまとめるとともに、日本地球惑星科学連合大会、アジアオセアニア地球科学会議、日本地震学会、米国地球物理学会等で公表し議論を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は微動・ゆっくり地震と巨大地震のデータ解析に重点を置いた研究である。超巨大地震については2011年東北沖地震について、パッチモデル作成やエネルギー推定など、多面的な研究を進めた。一方微動・ゆっくり地震については世界の様々な地域でデータ解析によってその性質を明らかにしている。単に分析をするだけでなく、分析結果をインターネットで無償公開するなど、結果の公表にも力を入れている。２つのターゲットのどちらについても十分な成果を生み出している。
本研究期間の途中には、雇用していた特任研究員が就職のために辞職するというハプニングがあった、その分予算を翌年度に繰り越して研究することで、何らの遅滞を生まなかった。延長期間分も含めると2013年4月から2014年6月までの研究期間に10編の研究論文を出版することができた。研究代表者とその指導学生は多くの国際会議に参加し、多数の学会講演を行った。
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでは巨大地震と微動を地域的に研究してきた。これらの研究は順調に行われており、今後も同じような地域研究は続ける。一方で５年間の研究期間のまとめを視野に入れた研究を始める。空間的には地球規模で沈み込み帯を比較し、個々の地域研究をまとめるような研究に一層力を入れる。本年度行った沈み込み帯の比較研究はその一例である。時間的には巨大地震とゆっくり地震の間を埋めるような時間スケールでの現象に注目して研究する。特に超低周波周波数帯といわれる帯域でのゆっくり地震現象を解析する手法を開発する。
データベースの整備はこれまで同様に継続して行う。国際交流の機会を増やし、米国、メキシコ、台湾などの研究者との共同研究を進める。
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| 備考 |
世界の様々な地域の微動活動の震源カタログを無償で公開したサイト
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