微動を元に超低周波帯域でのメカニズムを推定する手法を、台湾に適用した。同地域ではこれまで微動は鉛直に近い震源で発生すると考えられてきたが、本研究によって他地域と同様な沈み込みプロセスの方がもっともらしいことが明らかになった。この成果は同地域での複雑なテクトニクスを理解するうえで重要な手がかりとなる。また同様の手法をメキシコ、カスケードに適用し予備的な結果を得ることに成功している。 微動と潮汐応答の関係を調べることにより、プレート境界における摩擦法則を推定する手法を開発した。西日本とカスケードの微動活動にこの手法を当てはめ、各地域のプレート境界の摩擦特性の空間分布を推定した。同様の手法を台湾の微動についても適用した。また台湾の微動は世界最高レベルで潮汐依存性が強いことも判明した。地域的なばらつきは、昨年度まで推定してきた各地域でのエネルギー放出パターンの不均質性と調和的である。 微動は潮汐に依存するが、同時に海洋変動などさまざまな非潮汐変化にも応答する可能性がある。本年度の研究で初めて海洋変動(海底圧力変化)を取り入れてプレート境界での応力変化を計算した結果、地震活動との相関を示唆する結果が得られた。これは今後より深く研究する価値のある発見である。世界の沈み込み帯の地震活動の活発さが、沈み込むプレート形状の地域的な違いによってコントロールされているという結果を得て、論文において公表した。 上記研究の成果を論文として出版するとともに、日本地球惑星科学連合大会、日本地震学界、米国地球物理学会等に参加し、議論を深めた。
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