[超小型プラズマ波動受信器] MOSは一般的に耐放射線が弱いが、本研究で利用している0.25umのプロセスは比較的強いといわれている。またレイアウトでもガードをつけており、その結果としての耐放射線を検証した。その結果、一般的な20kradをはるかに上回る数10kradまでの耐性をもっていることを示した。一方、スペクトル型受信器では、それまで検討をおこなっていたPLL方式にものに加え、更に、波形捕捉型とデジタル技術を組み合わせた形での新しいスペクトル型受信器のチップ化の設計開発を行った。具体的には、波形捕捉型受信器の前段に、帯域を絞るための複数種類のフィルタを設け、このフィルタの切換、アンチエリアシングフィルタのカットオフ周波数の切換、ADコンバーターのサンプリング周波数の切換をデジタル制御で同期して行い、帯域を絞ながらそれに合わせたサンプリング周波数を切り替えて、時間的に変化させることによって、狭帯域の受信器の観測帯域が時間をおって変化するようにし、出力をFFTでスペクトルとする、というものである。ここでは初段の帯域制限フィルタの設計が重要であり、バンドパスフィルタをの中心周波数をずらしていくことのできるものを製作し検証を行うことができた。 [小型センサーノード] 小型センサーノードのプロトタイプの開発に成功した。10cm程の角の内部に、小型プラズマ波動チップ、プリアンプ、電源、小型無線器、CPUを配置したものを試作しその動作確認も行った。具体的には、電磁界6成分をとらえるセンサー出力を、上記で開発したプラズマ波動観測チップに入力し、その結果を小型の無線機を使ってリモートステーションへ伝送する。伝送スピードは地上で256kbps以上が実現でき、宇宙空間のフリースペースであれば、十分な伝送が可能であることを示した。
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