研究課題/領域番号 |
23244098
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
伊藤 谷生 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (50111448)
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研究分担者 |
津村 紀子 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00272302)
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キーワード | 富士川河口断層帯 / 糸魚川静岡構造線 / フィリピン海プレート / 地震探査 / 地下構造 / MDRS法 |
研究概要 |
初年度(平成23年度)は、富士川河口断層帯-糸魚川静岡構造線横断探査の実施が中心的課題であったので、まず新富士溶岩流分布域から富士川河口断層帯~南部フォッサマグナの南方延長域を経て糸魚川静岡構造線を横切り、竜爪山地を越え四万十帯に至る広い地域の地質調査を行った。この地質調査を進めながら、直線性や静粛性などを考慮して設定可能な探査測線候補を模索した結果、一番難しい市街地に関しては富士市の富士総合運動公園を東端として工事中の新東名高速道路の側道を活用しつつ西に向かう測線を設定することが好都合であることが判明した。こうして、富士宮市の星山丘陵通過し、南部町南部の山地にはいり、竜爪山地を越えて静岡市葵区梅ケ島西方に至る東西方向の測線が決定された。測線長は、推定されるフィリピン海プレート上面までの深度の約3倍にあたる35㎞に達しており、かつ主要な地質構造方向とほぼ直交することから最適である。さらに多面的な地震探査を実施するために静岡大学防災総合センターとの共同研究体制を構築し、以下の探査仕様を設定した。 1.受振器間隔50m(富士川河口断層帯の高分解能区間7㎞:12.5m間隔) 2.発震:最大加振力200kN以上の大型バイブレータ3台+中型2台を使用 (1)標準発震:150~200m間隔(高分解能区間:12.5m間隔)(2)多重(100回)発震:4~5㎞間隔(バイブレータ進入不可の山間部、100㎏ダイナマイト使用) 平成23年度中の6~9月には3度にわたる台風襲来と集中豪雨により測線域の林道が随所で崩壊・崩落したため科研費次年度繰越の上、探査は新東名開通寸前の平成24年4月初めに実施され、ノイズの少ないデータ取得が成功裏になされた。膨大なデータ群に対して標準的な処理を行った結果、多数の反射面の存在が確認されたが、それらが随所で交差するなどして、地下構造を解明するには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年度における最大の課題であった富士川河口断層帯-糸魚川静岡構造線横断探査を、3度にわたる集中豪雨被害を乗り越えて成功裏に実施した。特に重要なことは、中日本高速道路株式会社、地元自治体のご協力を得て、開通直前の新東名高速道路側道を測線として利用できたことである。このことによって我々の頭を悩ましていた市街地における測線の屈曲や高レベルのノイズ地域通過を回避し、良質なデータを大量に取得できた。当初計画以上に本研究は順調に滑り出したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の概要においても述べたように、取得されたデータに標準的な反射法処理を行って得られたプロファイル上には多数の反射面の存在が確認されたが、それらが随所で交差するなどしている。これは、地下における地層の傾斜がところどころで急変するなど、地下構造が複雑であることを示唆していると思われる。こうした複雑さに対処するためにCRS法を改良したMDRS法などの最新処理法を導入するとともに、卓越反射面を抽出するスケルトン化などの工夫を試みる予定である。また、プロファイル解釈に資するために、主要な断層の破砕帯構造を解析し、その運動センスや活動履歴などについての情報を得る。
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