研究課題
1.前年度までに取得された地震探査データを最新手法(MDRS、sleltonization)で再処理し、富士川河口断層帯から糸魚川静岡構造線を横断する浅部から深部まで地下構造断面の精度と解像度の向上を試みた。その結果は、1)沈み込むフィリピン海プレートの上面は測線東端より5km、深度5kmから西方に向かって確認できるが、それ以浅は未解明である。2)上面付近から分岐する2つの西傾斜逆断層群が確認され、地表延長付近には活断層としての富士川河口断層群が存在する。3)富士川河口断層帯は地表近傍では低角な衝上断層群による小規模なパイルナップ構造を呈する。同断層帯東縁をなす大宮断層は高角正断層と考えられてきたが、伏在する低角衝上断層である。4)フィリピン海プレート上面付近から分岐する2つの逆断層がどのような分岐形態をもって富士川河口断層帯の低角衝上断層群に接続するかということの詳細は未解明である。5)フィリッピン海プレートと糸魚川静岡構造線深部延長との関係は未解明である。2.1の3)を補強するために星山丘陵周辺で地表地質調査を行ったところ、鷺ノ田礫岩層中に尖頂背斜が確認された。これは低角衝上断層群の存在を支持する。3.1に示された未解明点に挑戦するために、1)に対しては既存重力データの解析、5)に対しては静岡大学防災総合センターと連携して測線西端部付近から爆破地震動グループの春野-昨手測線東端までレシーバ関数解析のための自然地震観測、を行った。現段階では解明には至っていない。4)に関していえば、これまで垂直変位量をもとに行われてきた富士川河口断層帯の活動性評価の再検討が必要となる。同断層帯が低角衝上断層群であるため、そのネット変位量は垂直変位成分よりはるかに大きくなるからである。同断層帯が東海地震震源域の北端部に位置することを考慮するならば、4)の解明は喫緊の課題といわねばならない。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて その他
すべて 学会発表 (6件)