研究課題/領域番号 |
23244099
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 学 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80153188)
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キーワード | 固体地球物理学 / 地震 / 大深度地下 / 地球変動予測 / 地質学 / 南海トラフ / 付加体 / 断層 |
研究概要 |
沈み込み帯における地震の観測・実験・理論研究の急進展をふまえ、その一層の飛躍をはかるためのツボというべき断層メカニズムの理解が本研究計画の目的である。 特にプレート境界から分岐する断層で起きる、ゆっくり地震から巨大地震までの多様なすべりメカニズムの解明に焦点を当てる。そのために、最も好研究条件にある過去の地震発生分岐断層である九州延岡衝上断層を対象に、陸上掘削を実施した。 掘削は、宮崎県延岡市五ヶ瀬川の河口から東へ約2 km、日向灘に面する海岸に沿う県道212号線脇から鉛直に250 m深まで実施した。延岡衝上断層上盤約41m および下盤210mをカバーした。コア採取回収率は99.8%であり、ほぼ断層試料の全面回収に成功した。 掘削孔に対して孔壁音響および光学イメージング、弾性波速度検層、中性子間隙率検層、比抵抗検層、自然ガンマ線検層、孔径測定検層を実施した。 また、掘削後の回収試料に対する非破壊コアに対して帯磁率測定を行った。 以上の掘削孔、および掘削コアからのデータ取得の結果に基づいて、以下の検討を行った。 1)断層帯の岩相区分 断層上盤は、主にフィライトから構成されるが、砂岩の含有量に変化が見られる。 断層下盤は、変形した泥岩、砂岩、凝灰岩から構成され、層準による岩相の変化が顕著である。その岩相の変化に基づいて区分した。下盤全体は断層帯内部と想定される。 孔壁画像イメージに基づいて、断裂の方位を分析した。また、それを基に回収コアの肉眼的断裂観察方位の回転補正を実施。断裂の分類に基づく方位卓越性についてデータを整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
断層帯における掘削によるコア回収は掘削に寄る擾乱等により、通常あまりよくないが、本掘削では掘削に寄る擾乱がほとんどなく、ほぼ 100%回収と期待以上であった。また、孔壁画像イメージと回収コアの比較により、断裂の詳細にいたるまで、現位置復元と可能となった。これらは期待以上であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り、非破壊による分析を更に進める、また、断裂系の分類に基づき、それらの詳細な分析をすすめる予定である。
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