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2011 年度 実績報告書

トランスジェニック技術を用いた軟体動物貝殻形成遺伝子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 23244101
研究種目

基盤研究(A)

研究機関東京大学

研究代表者

遠藤 一佳  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80251411)

研究分担者 棚部 一成  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
キーワード貝殻形成 / 形態進化 / バイオミネラリゼーション / 軟体動物 / 貝殻基質タンパク質 / らせん成長 / 進化発生学 / 遺伝子組換体
研究概要

巻貝類については,これまでの研究から貝殻腺や外套膜における貝殻の成長勾配を生み出し,規則的な螺旋成長への関与が示唆される遺伝子dpp,およびその上流遺伝子や関連因子と推察されるnodal, engrailed, レチノイン酸等について,発現解析と機能解析を行った.また,dpp遺伝子との関連が予想される遺伝子の探索を行なうため,次世代シーケンサーを用いたEST解析を笠型の貝殻を持つセイヨウカサガイ(Patella vulgata)と螺旋状に貝殻が巻くタケノコモノアガイ(Lymnaea stagnalis)について行なった.その結果,セイヨウカサガイにおいて,貝殻形成への関与が期待されるengrailedとその上流と考えられるレチノイン酸経路の関連遺伝子(レチノイン酸合成酵素cyp26,レチノイン酸分解酵素Aldhla2,Hox2,3,4,5)および,その他の初期発生時の形態形成に重要な数多くの遺伝子(soxB,goosecoid,brachury,pitx)の単離を行なうことができた.また,レチノイン酸経路を詳しく調べるために,セイヨウカサガイの胚をレチノイン酸あるいはレチノイン酸合成酵素阻害剤で処理し,代表的な発生ステージ(胞胚期,原腸胚期,トロコフォア期,ベリジャー期)で胚を固定し,in situハイブリダイゼーション法による遺伝子発現解析を行なった.
二枚貝類については,アコヤガイのゲノム概要配列のアノテーションを行い,本研究計画で機能解析を行うアスペイン遺伝子の他,数多くの貝殻形成関連遺伝子と初期発生の関連遺伝子を同定した.また,本研究の遺伝子機能解析で用いる各種発現プロモータ配列もアコヤガイゲノムにおいて同定した.さらに,実験室内においてアコヤガイの初期発生を行うための親貝,幼生の飼育系を確立した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していた遺伝子組換え体の作出による遺伝子産物の機能解析までは研究を進めることができなかったが,プロモータ配列等を含め,そのために必要な材料をすべて整えることができたから.また,高速シーケンサーを用いた解析により,巻貝類,二枚貝類のそれぞれについて,貝殻形成への関与が疑われる遺伝子群を網羅的に得ることができ,今後の研究の見通しを立てることができたため.

今後の研究の推進方策

今後は,当初の計画通り,RNA干渉による遺伝子発現の阻害を行うためのコンストラクト(DNA断片)を巻貝,二枚貝それぞれのゲノムに導入し,貝殻形成に関与する遺伝子の機能解析を推進する.また,様々な阻害剤を用いた遺伝子機能解析,発現解析も平行して行い,貝殻形成の機構や遺伝子カスケードを解明したい.アコヤガイについては,動物体だけでなく,外套膜を構成する細胞の培養細胞を用いた実験を開始することも検討している.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Draft Genome of the Pearl Oyster Pinctada fucata : A Platform for Understanding Bivalve Biology2012

    • 著者名/発表者名
      T.Takeuchi, T.Kawashima, R.Koyanagi, F.Gyoja, M.Tanaka, T.Ikuta, E.Shoguchi, M.Fujiwara, C.Shinzato, K.Hisata, M.Fujie, T.Usami, K.Nagai, K.Maeyama, K.Okamoto, H.Aoki, T.Ishikawa, T.Masaoka, A.Fujiwara, K.Endo, H.Endo, H.Nagasawa, S.Kinoshita, S.Asakawa, S.Watabe, N.Satoh
    • 雑誌名

      DNA Research

    • DOI

      10.1093/dnares/dss005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Possible functions of Dpp in gastropod shell formation and shell coiling2011

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, K., Sarashina, I., Kagi, H., Endo, K.
    • 雑誌名

      Development, Genes and Evolution

      巻: 221 ページ: 59-68

    • DOI

      10.1007/s00427-011-0358-4

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular mechanisms and evolution of shell coiling in gastropods2012

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Shimizu, Isao Sarashina, Tetsuhiro Kudoh, Kazuyoshi Endo
    • 学会等名
      5th EAFES International Congress
    • 発表場所
      滋賀
    • 年月日
      2012-03-19
  • [学会発表] Possible functions of Dpp in gastropod shell formation and shell coiling2011

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Shimizu, Isao Sarashina, Hiroyuki Kagi, Kazuyoshi Endo
    • 学会等名
      The 13th European Society for Evolutionary Biology Conference
    • 発表場所
      ドイツ・チュービンゲン
    • 年月日
      2011-08-21
  • [学会発表] 巻貝の貝殻が巻く分子メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      清水啓介, 更科功, 遠藤一佳
    • 学会等名
      日本進化学会第13回大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-07-31
  • [学会発表] Possible functions of Dpp in gastropod shell formation and shell coiling2011

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Shimizu, Isao Sarashina, Hiroyuki Kagi, Kazuyoshi Endo
    • 学会等名
      The 44th Annual Meeting of Japanese Society of Developmental Biologists
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2011-05-20

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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