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2011 年度 実績報告書

南極寒冷圏変動史の解読:第四紀の全球気候システムにおける南大洋の役割を評価する

研究課題

研究課題/領域番号 23244102
研究機関高知大学

研究代表者

池原 実  高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (90335919)

研究分担者 三浦 英樹  国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (10271496)
菅沼 悠介  国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70431898)
河潟 俊吾  横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90244219)
野木 義史  国立極地研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90280536)
中村 恭之  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (60345056)
岩井 雅夫  高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (90274357)
キーワード南大洋 / 南極氷床 / 南極周極流 / 海氷 / 生物ポンプ / 氷期 / セディメントウェーブ
研究概要

本研究では,2回の白鳳丸航海(KH-07-4 Leg3, KH-10-7)で採取された海洋コア試料(DCR-1PC, COR-1bPC, LHB-4bPC, LHB-3PC)を用い,まず各コアの年代モデルの構築を進めた。LHB-3PCとLHB-4bPCについては,バルク有機炭素の放射性炭素年代測定と珪質微化石(珪藻,放散虫)の生層序によって年代モデルがほぼ確定した。また,COR-1bPCから浮遊性有孔虫を抽出し,放射性炭素年代測定と酸素同位体分析を組み合わせて詳細な年代モデルを構築した。これらの年代モデル構築によって,コア最下部の年代がおよそ4万年前であること,および,最終融氷期(ターミネーションI)を特定した。また,最終融氷期の酸素同位体比変動からは,南極アイスコアなどで認められているAntarctic Cold Reversal (ACR)が明瞭に検出された。このことは,南大洋では最終氷期最寒期から完新世温暖期への気候変動の時期に2回の大きな環境変動が生じていたことを物語っている。
2航海で得られた海底地形データから,南大洋インド洋区のコンラッドライズ南西斜面で新たに発見したセディメントウェーブの空間分布と形態的特徴を明らかにした。また,地層探査および反射法地震探査による海底下地質構造を解析した結果,コンラッドライズでは上部ユニット(層厚約400m)ではセディメントウェーブが明瞭に観察されるが,下部ユニットでは観察されないことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年3月には,研究分担者らによるワークショップを行い,最新の研究成果の集約と次年度の研究計画について検討した。各コアの年代モデルの見通しが立ったことから,その他の様々な古環境指標の分析を進展させる基礎固めが行われたことになる。よって,初年度の研究は概ね順調に進行していると判断される。

今後の研究の推進方策

研究に用いる各コアの年代モデルをさらに強固に構築するために,放射性炭素年代の測定層準を追加する必要がある。南大洋の高緯度域の堆積物は,珪質微化石が主体であり,放射性炭素年代測定に用いる有孔虫化石の産出が限定的である。特に,COR-1bPCコアの氷期層準では,浮遊性有孔虫の産出状況は芳しくない。しかしながら,堆積物量を増やして処理することにより,有孔虫個体数を確保することができる見込みであるため,時間をかけて年代測定試料の確保を行う計画である。また,緯度トランセクトをなすコア群の中で最も低緯度側に位置するDCR-1PCコアについては,酸素同位体比分析,放射性炭素年代測定ともに未実施であるため,次年度には試料の処理を進め年代モデル確立へ向けたデータセットの構築を行う必要がある。さらに,その他の古環境指標の分析解析を進めることによって,南大洋における最終氷期以降の表層環境変動を詳細に復元する。特に, COR-1bPCを中心に分析を進め,最終氷期最寒期~最終融氷期~完新世における海氷分布,生物ポンプ,栄養塩供給(湧昇流)を復元し,南大洋における海洋フロントの移動と生物地球化学プロセスの実態を明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Holocene migration of oceanic front systems over the Conrad Rise in the Indian Sector of the Southern Ocean2012

    • 著者名/発表者名
      Katsuki, K., Ikehara, M., Yokoyama, Y., Yamane, M., Khim, B-K
    • 雑誌名

      Journal of Quaternary Science

      巻: 27 ページ: 203-210

    • DOI

      10.1002/jqw.1535.

    • 査読あり
  • [学会発表] 南大洋堆積物における磁性鉱物量変動の原因2012

    • 著者名/発表者名
      山崎 俊嗣, 池原 実
    • 学会等名
      ブルーアース2012
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      20120222-20120223
  • [学会発表] 中期更新世における南極周極流の北上~南大洋コンラッドライズのコア・SBP・サイスミックの統合解析~2012

    • 著者名/発表者名
      池原 実,大岩根 尚,香月 興太,中村 恭之,野木 義史,佐藤 太一,菅沼 悠介,三浦 英樹,山根 雅子,横山 祐典
    • 学会等名
      2011年度古海洋学シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120105-20120106
  • [学会発表] 南大洋インド洋セクターにおける過去の生物生産量変動2012

    • 著者名/発表者名
      岡本 周子,池原 実,Boo-Keum Khim,香月 興太,山根 雅子,横山 祐典,板木 拓也,上栗 伸一,菅沼 悠介,野木 義史
    • 学会等名
      2011年度古海洋学シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120105-20120106
  • [学会発表] Holocene polar front migrations over the Conrad Rise in the Indian sector of the Southern Ocean2011

    • 著者名/発表者名
      Ikehara, M., Katsuki, K., Yokoyama, Y., Yamane, M., Khim, B.-K.
    • 学会等名
      American Geophysical Union Fall Meeting 2011
    • 発表場所
      Moscone West コンベンションセンター(サンフランシスコ,米国)
    • 年月日
      20111205-20111209
  • [学会発表] 南大洋インド洋区におけるIODP掘削研究プロポーザル

    • 著者名/発表者名
      池原 実,野木 義史,菅沼 悠介,三浦 英樹,大岩根 尚,中村 恭之,香月 興太,横山 祐典,Boo-Keun Khim,河潟 俊吾,板木 拓也,佐藤 暢
    • 学会等名
      第11回日本地質学会四国支部総会・講演会
    • 発表場所
      徳島大学

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公開日: 2014-07-24  

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