研究課題/領域番号 |
23244105
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
薛 献宇 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (70362986)
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研究分担者 |
神崎 正美 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (90234153)
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キーワード | メルト / ガラス / 構造 / 核磁気共鳴法 / 揮発性成分 / 水 / 二酸化炭素 / ケイ酸塩 |
研究概要 |
本研究はCO2-H2O成分を含むケイ酸塩メルト(急冷ガラス)の構造を先端多核種・多重共鳴NMR測定及び第一原理計算により解明することを目標にしている。初年度では下記の研究を行なった。 1.水を含むNa2O-SiO2系の複数の組成の急冷ガラスを、ピストンシリンダー高圧装置を用いて合成した。それぞれについて、^1H MAS NMR,^<23>Na→^1H CPMAS NMR,^<29>Si→^1H→^<29>Si CPMAS NMR,^<23>Na 3QMAS NMRなどの測定を行なった。それによりアルカリケイ酸塩ガラス中の水の存在状態(NaOH種の有無、SiOH種の水素結合及び空間的分布など)に関する新たな知見を得た。 2.CO2を含むNa2O-SiO2系急冷ガラスのピストンシリンダー高圧装置を用いた合成方法を検証した。得られた試料はラマンやNMR分光法等を用いて調べた。 3.先端多核種・多次元NMR測定法、特に化学結合を介したJ結合を利用した測定法をケイ酸塩及び関連無機化合物結晶(K-cymrite,AlPO_4高圧相等)に応用し、その有用性を確認し、他の手法から得難い知見を得た。同様な測定法をCO2-H2O成分を含むケイ酸塩ガラスへの応用が次のステップとなる。 4.第一原理計算をSi-Al無秩序を持つアルミノケイ酸塩結晶(K-cymrite)などに応用し、そのNMRパラメータの計算に成功した。周期的構造の持たないケイ酸塩ガラスへの応用が次のターゲットとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の核心的な部分である先端固体NMR測定は少なくても水を含むNa_2O-SiO_2系急冷ガラスにおいては興味深い結果を得た。CO_2を含むケイ酸塩ガラスの合成や簡単な測定、複雑系の第一原理計算も進んでおり、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はCO_2やCO_2-H_2Oを含むケイ酸塩ガラスの先端多次元多核種(1H,13C,29Siなど)NMR測定及びガラスの第一原理計算を本格的に展開し、CO_2-H_2O成分の化学種及びそのネットワーク構造にもたらす変化を明らかにしたい。予想される問題点はCO_2含有量の限られた試料では高度な二次元NMR測定が難しいかなどが挙げられる。それについて同位体濃縮試料の使用や、測定法における工夫(感度向上)により対応したい。
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