研究課題/領域番号 |
23244108
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
奈良岡 浩 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20198386)
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研究分担者 |
橋爪 光 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (90252577)
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キーワード | 太陽系最古有機物 / 炭素質隕石 / 隕石母天体 / 化学構造 / 液体クロマトグラフ / ガスクロマトグラフ / 質量分析 / 同位体組成 |
研究概要 |
本研究の目的は炭素質隕石に含まれるより始原的な地球外有機物を詳細に分析して、隕石母天体上での水との反応以前の太陽系最古の有機化合物の化学構造と異常同位体組成の特徴を明らかにし、前太陽系および原始太陽系星雲初期に起こった有機化学反応のメカニズムを考察することである。初年度の計画では炭素質隕石の溶媒抽出物を液体クロマトグラフ質量分析による分析条件を確立することが主な目的であった。 まず、代表的な炭素質隕石であるMurchison隕石の粉末試料をヘキサン、メタノール、水で順次、溶媒抽出を行い、それぞれに含まれる元素分析・同位体比分析の結果、メタノールと水抽出物に同位体的に重い炭素と窒素を持った有機物が多量に含まれていることを確認した。さらに、本研究で新たに導入した液体クロマトグラフ質量分析計の逆相分配カラムによる分析方法を検討した。予備的な結果として、同じ溶媒の抽出物の中にもさまざまな化学形をもった有機化合物が含まれていることが明らかとなった。また、それぞれの画分についてキューリーポイント熱分解を行い、ガスクロマトグラフ質量分析によって構成有機物の分析も予備的に検討し、特徴的な化学構造がそれぞれの画分に存在することがわかった。これらの結果は当初に計画した研究手法が妥当なものであることを示し、今後、分子量分画や立体を認識する光学活性カラムを用いて、より始原的な有機物の化学構造を明らかにする。 また、本研究のアウトリーチ活動の一環として、福岡県の高校において、講演題目「宇宙における生命」の中で隕石有機物の研究紹介を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では本研究の主要備品である液体クロマトグラフ質量分析計の設置を平成23年10月に予定していたが、科研費の全額交付が遅れたため、平成24年1月の設置となった。そのため、液体クロマトグラフ質量分析計を使用する部分の研究は若干の遅れ気味であるが、想定の範囲内であり、全体としてはおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を今後も推進する。研究計画の変更は現時点では考えていない。一つの問題点として、有機物の酸素同位体組成測定に用いる同位体比質量分析計が建物の電圧変動により、不安定になることがわかったので、次年度には定電圧電源装置を導入する。
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