研究概要 |
プラズマ中に微粒子が共存し、負に帯電したミクロサイズの微粒子は、プラズマ中にクーロン結晶を形成し、シース端で重力と電気力のつり合いにより浮遊させることができる。横浜国大の円筒状真空大型ガラス管YCOPEX(Yokohama Complex Plasma Experiment)装置を使い、管内に水平に置かれたステンレス板上にできるシース上に浮かぶ微粒子クーロンクラスターを形成し、大面積にひろがるクラスターを側面からレーザーを当てることにより可視化して、プラズマパラメータを変化し, 微粒子径や微粒子数を制御して, 高密度の微粒子からなるクーロンクラスターの形成を実現した。装置を傾け,重力を利用することにより,クラスターに流れを作り,ダスト音波速度以上の超音速流を作り出し,ポテンシャル障壁により衝撃波面(バウショック)を作り出すことに成功し、微粒子結晶中を伝わる波の格子波、ダスト音波について検証した。バウショック前面における粒子密度の測定から、ランキン・ユゴニオ理論と比較した。また分子運動論による粒子シミュレーションにより、バウショック形成の実験結果を再現できることを示した。結果は物理学会、スエーデンでの国際会議で発表された。また分子運動論のシミュレーションにより、コンプレックスプラズマ中でのダスト粒子による、1次元鎖形成、2次元ジグザグ構造、3次元二重らせん構造ができることを示し、格子モデルを用いて理論的に構造変化の起こる臨界条件を見出し、コンピュータ実験結果を説明した。これは米国プラズマ専門誌に発表されるとともに、スエーデンで招待講演にて紹介された。YD(Yokohama Dewar)装置による、液体ヘリウム蒸気中での微粒子の帯電量測定は、常温プラズマ中での帯電現象の理論予測とはかなり異なり、量子効果を考慮した理論を提案した。
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