研究課題/領域番号 |
23244112
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅慶 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (90163576)
|
研究分担者 |
荒巻 光利 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50335072)
吉村 信次 核融合科学研究所, 助教 (50311204)
寺坂 健一郎 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (50597127)
|
キーワード | レーザー誘起蛍光法 / フェムト秒レーザー / 半導体レーザー / 非共鳴励起 |
研究概要 |
レーザー誘起蛍光法は目標粒子を光励起し、脱励起する際の発光を測定するもので、粒子の数密度を測定する方法として広く利用されてきた。近年、狭帯域の半導体レーザーが実用化されるに伴い、特定の速度を有する粒子に対する操作が可能となり、そのドップラーシフトがきわめて正確に測定できるようになった。波長掃引を行えば、速度分布関数を精密に測定することができる。プラズマ中の流れ構造の研究にとって、速度場を可視化できるレーザー誘起蛍光法は非常に強力な方法であると言うことができる。しかしながら、半導体レーザーの発振波長は可視~赤外領域に留まるため、ターゲットとなる粒子は励起原子間のレベル遷移を対象とせざるを得ず、また、励起状態にある電子は近接レベルへの衝突移行など、実験条件によって大きく変わるため、レーザー誘起蛍光法の適用可否は実験条件に左右されている。そこで、本研究では測定対象となる励起原子を自ら生成する能動的なレーザー誘起蛍光分光法の開発を目指した。これにより、実験条件に依存せず、誘起蛍光分光法を最大限に応用できるようになる。 本研究の特色は励起原子の生成・制御にフェムト秒レーザーによる非共鳴励起を応用する点にある。そのためにフェムト秒レーザーとプラズマイオンの非共鳴励起を利用して従来よりはるかに簡便なシステム構成を目指した。平成23年度は (1)ポンプ系としてのフェムト秒レーザーシステムの導入 (2)プローブ系としての半導体レーザー誘起蛍光システムの構築 を行った。(1)に関しては、簡単な放電管を作りアルゴンプラズマにフェムト秒レーザーを照射することで励起原子の変化を分光学的に調べた。実験の結果アルゴンの励起準位の原子数に有意な変化が認められた。このことは、フェムト秒レーザーの非共鳴相互作用によってアルゴンの励起状態が生成されていることを示すものである。また(2)に関しては、アルゴン中性原子の速度分布関数が精度よく測れることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェムト秒レーザーを導入し、プラズマイオンとレーザービームの相互作用を分光学的に調べた。レーザー入射時に発光強度の増加が観測され、フェムト秒パルスがプラズマ粒子を非共鳴励起していることが確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度はポンプ系のフェムト秒レーザーシステムとプローブ系のレーザー誘起蛍光分光システムを組み合わせてポンプ-プローブ系からなるシステム全体を完成させる。新システムを用いて、初期実験をスタートさせる。システム開発上で問題が生じれば、それに対応する。また、2次元計測へ発展させるため、ICCD検出器を導入して、開発研究を開始する。
|