研究課題/領域番号 |
23244112
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅慶 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (90163576)
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研究分担者 |
吉村 信次 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (50311204)
荒巻 光利 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50335072)
寺坂 健一郎 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (50597127)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / レーザー誘起蛍光法 / 非共鳴励起 / 半導体レーザー |
研究概要 |
平成24年度はフェムト秒レーザーをアルゴンプラズマに入射し、レーザー光とプラズマの相互作用を調べる実験を開始した。より安定したテストプラズマを得るため、RF発振器を導入してプラズマ生成装置を作成した。これにより広い圧力範囲10^-4~10^-1Torrでプラズマが安定して得られるようになった。このテストプラスマにフェムト秒レーザーを入射し、レーザーを入射した時と入射しない時の発光スペクトルの変化を観測した。アルゴンプラズマは自発光しているので、その成分を差し引く必要があるが、そのためCCD分光器を用いて繰り返し計測し平均取ることで自発光成分を精度よく測定することができた。CCD分光器の測定波長は400nmから1000nmまでで、アルゴン原子およびイオンの重要な発光線をすべて含んでいる。また、CCD分光器はこれらの波長帯を一括して同時計測できるのでプラズマ変化の影響を受けにくく、自発光スペクトルを正確に計測できた。実験を行ったところ 波長696nm,763nm,810nm,811nm, 826nmで有意な発光増加が観測された。これらの発光線はすべてアルゴンの中性原子の励起状態からの遷移で、そのエネルギーレベルは11eV~13eVの範囲にある。フェムト秒レーザー光(780nm、1.54eV)の1~2光子によって励起されていることが分かった。現在のフェムト秒レーザーのエネルギー強度は10^8 W/cm^2のレベルであり、トンネル電離が起こるレベルに比べて3桁程度低い値である。にもかかわらず今回の実験で有意なスペクトル増加が見られたということは、従来よりはるかに低いエネルギーで電子のレベル間遷移が可能であることを意味しており原子状態の制御の観点から重要な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安定なテストプラズマを得るためRFプラズマ装置を製作し、フェムト秒レーザーを入射してプラズマとの相互作用を調べた。フェムト秒レーザー入射時に発光強度の有意な増加が観測され、アルゴン中性原子の励起状態が生成されていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はフェムト秒レーザーと半導体レーザーの同時入射による電子レベル間遷移の制御性に関する実験を開始する。そのため、特定のレベル間の遷移に相当する波長の複数の半導体レーザーとフェムト秒レーザーを同時入射して、発光スペクトルがどのように変化するかを調べる。
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