研究実績の概要 |
本研究では、乱流計測シミュレータが、大域的非線形ダイナミクスの本質的な過程を見いだすための研究方法論となる事を実証し、非平衡プラズマの物理に新しい進展をもたらすことを目指している。 平成27年度は最終年度であり、全体計画に沿って研究をとりまとめた。 乱流計測シミュレータによる動的輸送応答実験観測への寄与を取りまとめ、実験観測に具体的に適用した。位相イメージコントラスト法と呼ばれる乱流計測法について検討した。通常、視線積分のデータをもとに実空間分布が推定されているが、推定の誤差(曖昧さ)が通常信じられているより大きいことを示し、乱流の解釈に基軸を示した。また、プラズマの大域的な非平衡ダイナミックスについて考察を深め、通常はミクロ・メゾ・マクロと分離されて議論されている物理過程が、スケールの差を超えて直接相互作用するクロススケールの考え方も示した。この成果を、輸送界面や速度空間構造と乱流輸送の相互作用の研究へと統合し、その結果、通常は滑らかと仮定されている分布に細かな凹凸が自律的に生まれ、それが大域的な輸送現象に大きな影響を与えることを示した。さらに、H-モード輸送障壁のスケーリング則を導いている。乱流の塊の間欠的移送についても、観測可能性を前年度までに示し、具体的な観測も先導した。先進データ解析法と実験検証では、JT-60U, JFT-2M, LHD,基礎実験装置PANTA,中国西南物理学研究所HL-2A,などの実験を対象に揺動解析国際共同作業ワークショップを開催し、結果を取りまとめた。 これらの成果を5th Asia Pacific Transport Working Group (天津)、ヨーロッパ物理学会、Plasma Edge Theory国際会議(奈良)、日本物理学会、プラズマ核融合学会、国際土岐会議などで発表し、成果を取りまとめ多数の論文を出版した。
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