研究課題
3年目(最終年度)は以下の成果を挙げた。(1)軟X線吸収オペランド分光の開発と不均一触媒反応、電極反応への応用液体セルの窓に銅などの金属触媒の薄膜を蒸着することで触媒反応を起こして、中間体などを観測する試みを行った。また、酸化チタンを触媒としてシアノ基の加水分解によりアミド基ができる反応の時間変化及び温度変化の観測に成功した。さらに、液体セルに電極を組み込むことで遷移金属イオンなどの価数変化の実体を観測することに成功し、論文を出版した。透過軟X線吸収顕微鏡の立ち上げも行い、電極セルを導入することで面内方向での30nmオーダーでの顕微観測をin situで実現した。(2)液体・溶液の軟X線共鳴光電子分光これまで蓄積した液体・溶液の軟X線透過吸収スペクトルの基礎データに基づき、液体ビーム光電子分光の共鳴内殻分光への展開を図って、アンモニア水の窒素内殻励起領域での実験を行ったが、大きなエネルギーシフトが観測されなかった。アンモニア分子は水分子と違って水素結合の水素ドナーサイトが3,水素アクセプターサイトが1と数のバランスが悪く、水溶液中のアンモニア分子周辺の局所構造として、水素ドナーサイトは約1/3しか水素結合を形成しないため、全体としてのシフトが実験的に小さくなることが、分子動力学シミュレーションと量子化学スペクトル計算から説明することができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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