研究課題/領域番号 |
23245028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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キーワード | ナノ粒子 / ヘテロ接合 / 磁性 / 水分解 / 新エネルギー |
研究概要 |
複数のナノスケール無機相が異方的に相分離したヘテロ接合ナノ粒子は、ヘテロ界面を通した異種無機相間の原子・イオン・量子移動が高効率で進行する、全く新しいナノ構造特異機能材料として大きな魅力を有している。本研究では、ヘテロ接合ナノ粒子を用いた革新的エネルギー機能材料の開拓を目指す。 本年度はまず、L1_o-FePd/α-Feナノコンポジット磁石の保磁力増大を目的に、粒径8~10nmの単分散Pdナノ粒子を合成し、これを種としPdナノ粒子表面にγ-Fe_2O_3相(Fe/Pd-9/1~515,mol/mol)をヘテロ接合させたP(d/γ-Fe_2O_3ナノ粒子の大量合成を行った。その結果、粒径8nmの単分散Pdナノ粒子へのγ-Fe_2O_3相の成長とヘテロ界面原子拡散により、L1_o-FePd/α-Feナノコンポジット磁石の創成に成功した。保磁力は5nm単分散Pdナノ粒子を用いた場合より増大したが、鉄カーバイド相の形成等による磁化の低下の抑制が課題となった。 次に、革新的水完全分解ナノ粒子触媒として、Pt/CdS/CoO_xヘテロ接合ナノ粒子に焦点を当てた。立方晶コアから六方晶構造の4本のアームの伸びたテトラポッドCdSナノ粒子を合成し、アーム頂点に水素生成サイトなるPt相を、アーム側面に酸素生成サイトとなるCoO_x相を接合させることに成功した。今後は、本光触媒の触媒活性を従来の光触媒と比較検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交換結合ナノコンポジット磁石の保磁力の増大に成功しており、次の展開として容易軸の揃った異方性ナノコンポジット磁石の創成にもすでに着手している。また、水分解ナノ粒子触媒の合成手法も確立しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
L1_o-FePd/α-Fe交換結合ナノコンポジット磁石の磁化の低下を抑制するための後処理条件を検討する必要ある。また、保磁力の更なる向上のため、硬磁性相(L1_o-FePd)の規則度の向上も必要不可欠である。水分解ナノ粒子触媒に関しては、合成した光触媒の触媒活性を早急に評価し、その結果を触媒合成にフィードバックする。
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