本年度は、異方性L10-FePd/α-Feナノコンポジット磁石の創製を目的に、L10-FePd/α-Feナノコンポジット磁石におけるL10-FePd硬磁性相の形状を制御し、磁気特性との相関の解明を行った。14 nm立方体Pd種粒子および18 nm正八面体Pd種粒子存在下、所定量のFe(CO)5の熱分解によりPd種粒子表面上にFeOx相を成長させることで、種々のFe:Pd組成比を有する立方体および正八面体Pd@FeOxナノ粒子の合成に成功した。次に、合成した立方体および正八面体Pd@FeOxナノ粒子を、4% H2/Ar雰囲気下において所定温度(500~600℃)、所定時間(3~10時間)で還元熱処理し、L10-FePd/α-Feナノコンポジット磁石への結晶構造変態を誘起した。その結果、正八面体Pd@FeOxナノ粒子を550℃で10時間還元熱処理した試料で従来の性能を超える保磁力 4.17 kOe、残留磁化比 0.49が得られた。 次に、水完全分解光触媒の酸素生成助触媒として、活性の高いMn3O4ナノ粒子のMn(II)をCo(II)に置換したCoxMn3-xO4ナノ粒子に焦点を当てた。Co置換率0~40%のCoxMn3-xO4ナノ粒子をSrTiO3光触媒へ担持し、水素生成助触媒(Rh/Cr2O3ナノ粒子)を光電着した後、水完全分解光触媒特性評価を行った。その結果、Co置換率の増加に伴い水完全分解活性が上昇し、Co置換率40%の時に無担持の場合と比較して2.6倍高い活性が得られた。さらに、CoxMn3-xO4ナノ粒子を担持したBiVO4光電極の光電流測定を行ったところ、Co置換率の上昇に伴い光電流値が上昇し、光触媒の安定性も増すことが明らかとなった。これらの結果は、Co置換Mn3O4ナノ粒子がMn3O4ナノ粒子よりも酸素生成助触媒として効果的に働くことを示している。
|