現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多くの既知の色素増感型の人工光合成系(例えば、Moore et al., JACS 2009, 131, 926; Spiccia et al., idem., 2010, 132, 2892)ではバイアス電位が必要であったり、紫外光や可視部短波長域光しか利用できない、短時間の照射で失活するなど様々の課題があった。本研究ではバイアス電位を必要とせず、太陽光のみでの自立した「人工光合成系」の構築を可能とし、550 nmまでの可視光照射で数時間安定して水分解による光電流が観測された。これは従来の色素増感型水分解電極の性能を大きく凌駕しており、本分野における大きな進歩につながる。この光応答水分解電極の作製を可能とした背景には、用いる水の酸化分解触媒が低過電圧でかつ大きな触媒回転速度を持つことが挙げられる。独創的なマンガンポルフィリン二量体触媒の人工光合成系における有用性が立証されたことと併せて当初の課題解決に大きく進むことができた。
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