研究課題/領域番号 |
23245042
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 淳夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30359690)
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研究分担者 |
山田 裕貴 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30598488)
西村 真一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (00549264)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リチウム電池 / ナトリウム電池 / 正極 / 2相分離反応 / インターカレーション |
研究概要 |
電池における基本反応機構であるインターカレーションが協力的に発現することで巨視的な反応・未反応相境界が形成され、さらに絶縁性材料においてもこの相境界移動が非常に高速に起こる現象に注目し、その反応機構体系化を行う、その上で、これを積極的に制御することで、新たな高容量、高速電極材料開発につなげることを目的とする。 平成25年度は、引き続き典型的な2相分離反応系であるLixFePO4を対象に、平成24年度に観測したリチウム量に依存する平衡状態における異常なエントロピー変化について、熱量測定による非平衡測定に展開した。その結果、平衡測定で観測された100nm以下の粒子における異常挙動は観測されず、単純な2相分離描像で解釈可能な振る舞いを示した。このことから、非平衡反応時は全粒子において2相分離を基本に均一に反応が進行するものの、ナノ粒子において顕著になる2相分離界面の歪みエネルギーを緩和するために、各粒子がアルファ相またはベータ相を2者択一する形の相分離形式に移行することで、最終的な平衡状態が実現しているものと解釈された。 このように、LixFePO4についてはその全体的描像がほぼ明らかになったため、材料横断的な検討に展開すべく、ナトリウムイオンをゲスト種とする2相反応系であるNa3+xV2(PO4)や、最近我々が発見した新規無歪みリチウムインターカレーション系Li1+xRh2O4の合成や電気化学特性評価を開始した。 加えて、Naインターカレーションが多面体回転モードの協力的凍結を引き起こすことで巨視的格子変形が抑制される、新しいタイプの無歪み系2相分離型インターカレーション反応を、Eu[Fe(CN)6]4H2Oにおいて見いだし、極めて低い活性化エネルギーで相界面移動が進行することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルシステムにおける体系的実験研究による全体像の把握から、材料横断検討への移行が計画通りに進行しているとともに、新しいタイプの反応メカニズムに基づく新規相分離現象の発見にも派生している。概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現状、順調に進展しているため、申請書通りに研究を推進する。
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