研究課題/領域番号 |
23245043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今中 信人 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30192503)
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研究分担者 |
田村 真治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80379122)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 固体電解質 / 多価イオン / 4価 / ナシコン型構造 / ゲルマニウム |
研究概要 |
本研究では、固体中における高価数(3価および4価)カチオン伝導を与える要因を解明することを主目的とし、様々な高価数カチオン伝導体の開発に取り組んだ。平成24年度は、三次元網目構造をとるナシコン型構造を有する種々の4価イオン伝導体の開発を行い、伝導4価イオン種とそれらのイオン伝導性との相間について調べた。 これまでに開発したMNb(PO4)3 (M=Zr, Hf, Ti)に加え、新たにM=Geの系を合成し、伝導4価イオン種が異なる4種類の固体電解質についてそのイオン伝導性を比較したところ、伝導のし易さを示す活性化エネルギーは4価イオンのイオン半径が大きくなるに従い増大し、イオン半径の小さなイオンほど固体中を伝導しやすいことが判明したが、同温度におけるイオン伝導度(導電率)は、伝導イオン種のイオン半径よりもむしろ伝導4価イオン種の電気陰性度に依存し、M=Hfにおいて最大の導電率が得られることが明らかとなった。 以上のことから、固体中における4価イオンの伝導性には、構造中の伝導経路の大きさだけでなく、伝導種の電気陰性度も影響を与えることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請研究では、固体内での高価数イオン伝導に影響を及ぼす要因の解明を通して、高イオン伝導を得るための開発指針を得ることを目的としており、本年度までに種々の4価イオン伝導体の開発に成功している。また、伝導種のイオン半径だけでなく、電気陰性度も固体内のイオン伝導に影響を与えることも見出していることから、計画通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を基に、新しい伝導4価イオン種の探索を行い、どのような4価イオンが固体中を伝導できるのかを明確にするとともに、高価数イオン伝導体の開発で得られた知見を活用することで、より低価数(具体的には、2価イオン)のイオンを伝導種とし、高いイオン伝導性を示す固体電解質の開発にも取り組む。
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