本研究では、固体中における高価数(3価および4価)カチオン伝導を与える要因を解明することを主目的とし、様々な高価数カチオン伝導体の開発に取り組んだ。平成25年度は、二次元層状構造を有する新規な4価イオン伝導体として、α-Te2MoO7の開発を行い、イオン伝導性と結晶構造との相間について調べた。 α-Te2MoO7は540℃以下では結晶性のα相を保持でき、400℃以上においてこれまでに報告しているNASICON型4価イオン伝導体に匹敵する高い導電率を示すことが明らかとなった。また、伝導イオン種がTe4+イオンであることをTunadt電気分解により実証された。さらに、精密な結晶構造解析により、Te4+イオンは層状構造をとるα-Te2MoO7中のTeO2層内をa軸およびb軸方向へ二次元的に移動できることが明らかとなった。 結晶構造解析を用いた4価イオン伝導経路に関する本考察により、初めて固体中での4価イオン伝導が理論的に実証された。
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