研究課題
電気的スピン注入はスピンデバイスの創生に対し重要な基盤技術の一つである.特に光学デバイスへの活用が期待されておりVCSELsの特性向上が報告されている.このようなデバイスには量子井戸方向のスピン偏極電子を半導体中に生成する面直スピン材料が望まれる.しかし,これまでの面直スピン注入の報告では面内スピン注入ほどの効率は得られておらず,高効率なスピン注入を可能とする材料・構造が求められる.本研究では,CoFeB/MgO/GaAsハイブリッド構造を作製し,面直スピン注入実験をH23年度より実施してきた.平成24年度において,作製した試料において磁気輸送測定ではスピン注入・スピン蓄積を示唆する結果が得られたが,磁場中の顕微カー回転測定による光学的測定法ではこれらを実証できなかった.平成25年度は東北大学の半導体成膜装置のトラブル等により新規に試料を作製することができなかったため,スピン注入の基盤として用いたn-GaAsのスピン緩和測定を筑波大学で実施するための時間分解カー回転測定系を構築し,スピン緩和時間や磁場中のスピン歳差運動を調べた.試料はMBE法によって成長し,表面から順にn-GaAs 15nm:1x10ヘ19cm-3/n-GaAs(2μm: 2x10ヘ16cm-3/(GaAs 3nm/AlAs 3nm)x 10/GaAs 200nm/GaAs(001)基板である.光源には~110フェムト秒パルスを生成するモードロックTi:Sapphireレーザーを用いた.得られたスピン緩和時間は5Kにおいて1.8 nsと,過去に~3ピコ秒のパルスで測定して得られた緩和時間(>10 ns)よりはるかに短い値が得られた.1桁以上異なるスピン緩和時間が得られた原因は明らかでないが,顕微測定においてフェムト秒レーザーを使用することに限界があることを示唆する結果であった.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.bk.tsukuba.ac.jp/~oono/