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2011 年度 実績報告書

無転位SiC結晶の実現

研究課題

研究課題/領域番号 23246004
研究機関名古屋大学

研究代表者

宇治原 徹  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312641)

研究分担者 佐々木 勝寛  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00211938)
加藤 正史  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362317)
原田 俊太  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30612460)
キーワード溶液成長 / 結晶欠陥 / SiC
研究概要

SiCは、シリコンパワーデバイスの性能を遙かに凌ぐ材料として期待されている。SiC基板は商業的には昇華法で成長されているが、これらには1000~10000/cm2の転位が含まれており、SiCデバイスにおける大幅な性能・信頼性低下の原因となっている。溶液法は平衡に近いプロセスであり、高品質SiC結晶成長への応用が検討されている。最新の我々の研究では、溶液法では、重篤な欠陥であるマイクロパイプ・基底面転位は皆無、貫通らせん転位も昇華法と比較して減少することを確認している。しかし、これらは「無転位」ではない。究極的に必要とされる「無転位」は、単に溶液法を用いるだけでは実現されない。
当該研究ではマスクを用いたラテラル成長を実施することとし、初年度はそのマスクの最適化条件を見いだすのに手間取り、繰り越しで研究を実施した。その結果、その結果、窒化物だけではなく酸化物の重要性に気付き、当該年度は酸化物のスパッタリングが可能な装置の導入を行った。また、それと平行して、ラテラル成長によって転位が低減するメカニズムについての研究も行った。従来の研究では、種結晶の端部に形成された部分の結晶品質が向上していることを確認しているだけであったが、本年度の研究では、オフ角をもった種結晶を利用することで、種結晶中の貫通転位のほとんどが、基底面の転位に変換することを見いだした。このことは、比較的厚い結晶を成長することで、無転位の結晶を実現出来ることを示唆する結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画時は、種結晶へのマスク形成によるラテラル成長の実現により、低欠陥化を目指した。しかし、欠陥低減メカニズムをX線トポグラフィーやTEMなどで詳細に調べたところ、比較的大きなマクロステップを結晶表面に形成し、それを横方向に成長させることで、欠陥が著しく低減することを見いだした。このメカニズムは、無転位の実現を示唆する結果となっている。この手法は、手法は若干異なるが、数値的な目標に関しては、当初予定を遙かに上回る結果である。

今後の研究の推進方策

本研究によって、マクロステップの形成によるラテラル成長がきわめて有効であることがわかった。したがって、今後はマスク形成によるラテラル成長に加えて、マクロステップを利用した手法についても、合わせて検討していく。マスク形成による手法についても、引き続き検討し、最終的には両者の融合技術で目標達成を目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] "Stable Growth of 4H-SiC Single Polytype by Controlling the Surface Morphology Using a Temperature Gradient in Solution Growth"2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Yamamoto, K. Seki, S. Kozawa, Alexander, S. Harada, T. Ujihara
    • 雑誌名

      Mater. Sci. Forum

      巻: 717-720 ページ: pp.53-56

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Conversion Mechanism of Threading Screw Dislocation during SiC Solution Growth"2012

    • 著者名/発表者名
      T. Ujihara, S. Kozawa, K. Seki, Alexander, Y. Yamamoto, S. Harada
    • 雑誌名

      Mater. Sci. Forum

      巻: 717-720 ページ: pp.351-354

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Polytype Transformation by Replication of Stacking Faults Formed by Two-Dimensional Nucleation on Spiral Steps during SiC Solution Growth"2012

    • 著者名/発表者名
      S. Harada, Alexander, K. Seki, Y. Yamamoto, C. Zhu, Y. Yamamoto, S. Arai, J. Yamasaki, N. Tanaka, and T. Ujihara
    • 雑誌名

      Crystal Growth & Design

      巻: 12, (6) ページ: pp.3209-3214

    • 査読あり
  • [学会発表] “溶液法による超高品質SiC結晶成長”2012

    • 著者名/発表者名
      宇治原徹, 原田俊太,山本祐治, 関 和明
    • 学会等名
      公益社団法人日本セラミックス協 会 第25回秋季シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学, 愛知県
    • 年月日
      20120919-20120921
    • 招待講演
  • [学会発表] “4H-SiC溶液成長における貫通刃状転位の選択的変換”2012

    • 著者名/発表者名
      原田俊太, 山本祐治, 関 和明, 堀尾篤史, 三橋貴仁, 宇治原徹
    • 学会等名
      公益社団法人 応用物理学会 2012年秋季 第73回 応用物理学関係連合講演会
    • 発表場所
      愛媛大学城北地区, 愛媛県
    • 年月日
      20120911-20120914
  • [学会発表] "Efficient Process for Ultrahigh Quality 4H-SiC Crystal Utilizing Solution Growth on Off-axis Seed Crystal"2012

    • 著者名/発表者名
      S. Harada, Y. Yamamoto, K. Seki, A. Horio, T. Mitsuhashi, T. Ujihara
    • 学会等名
      2012 MRS Spring Meeting & Exhibit
    • 発表場所
      Moscone West Convention Center Martiott Marquis San Francisco, California, USA
    • 年月日
      20120409-20120413

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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