研究課題/領域番号 |
23246004
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇治原 徹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312641)
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研究分担者 |
佐々木 勝寛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00211938)
原田 俊太 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30612460)
加藤 正史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362317)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 溶液成長 / 結晶欠陥 / SiC |
研究概要 |
SiCは、シリコンパワーデバイスの性能を遙かに凌ぐ材料として期待されている。SiC基板は商業的には昇華法で成長されているが、これらには1000~10000/cm2の転位が含まれており、SiCデバイスにおける大幅な性能・信頼性低下の原因となっている。溶液法は平衡に近いプロセスであり、高品質SiC結晶成長への応用が検討されている。最新の我々の研究では、溶液法では、重篤な欠陥であるマイクロパイプ・基底面転位は皆無、貫通らせん転位も昇華法と比較して減少することを確認している。しかし、これらは「無転位」ではない。究極的に必要とされる「無転位」は、単に溶液法を用いるだけでは実現されない。 昨年度の繰り越しとして本年度に実施した結果において、オフ角をもった種結晶を利用することで、種結晶中の貫通転位のほとんどが、基底面の転位に変換することを見いだした。本研究により、さらに検証を行ったところ、結晶表面のマクロステップの横方向成長が欠陥変換に寄与しており、さらにそのマクロステップの高さが高いほどその変換質が向上することがわかった。基底面の欠陥は、成長と方向とは垂直方向に伸びた欠陥であることから、ある程度の厚さの結晶を育成すると、最終的にはすべて結晶外部に掃き出されることになる。実際に、比較的長時間の成長を実施し、エッチングにより欠陥密度を調べたところ、従来のSiC結晶と比較して、格段に結晶性が向上し、特に貫通らせん転位は、ほぼ皆無となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画時は、種結晶へのマスク形成によるラテラル成長の実現により、低欠陥化を目指した。しかし、欠陥低減メカニズムをX線トポグラフィーやTEMなどで詳細に調べたところ、比較的大きなマクロステップを結晶表面に形成し、それを横方向に成長させることで、欠陥が著しく低減することを見いだした。このメカニズムは、無転位の実現を示唆する結果となっている。この手法は、手法は若干異なるが、数値的な目標に関しては、当初予定を遙かに上回る結果である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究によって、マクロステップの形成によるラテラル成長がきわめて有効であることがわかった。したがって、今後はマスク形成によるラテラル成長に加えて、マクロステップを利用した手法についても、合わせて検討していく。マスク形成による手法についても、引き続き検討し、最終的には両者の融合技術で目標達成を目指す。
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