研究課題
大きなサイズのArクラスターイオンは有機材料を低ダメージにスパッタリングできるため、SIMS法やXPS法での実用化が始まった。クラスターイオン銃を供えた表面分析装置が市販され、クラスターイオンが有機材料分析のデファクトスタンダードとなった。深さ方向分析だけでなくArクラスターイオンを収束し、SIMS法の1次イオンとして用いることにより、質量イメージングを実現した。これまで、Arクラスターイオンを収束させることは困難であると考えられてきたが、新しいノズル開発や色収差の小さいレンズを使うことにより、数ミクロンに収束させることに成功した。これにより、収束Arクラスターイオンビームを使った分子イメージング法への道が開拓できた。巨大クラスターを用いる表面分析の最も期待されている新しい応用分野は生命科学分野であり、1細胞分析から薬物動態、バイオマーカー探査など様々な可能性がある。細胞内の主要成分である脂質分子については既に検討を始めており、細胞や組織切片を使い脂質分子の検出に成功している。しかし、検出感度という点ではいまだに不十分であり、高感度化すなわち2次イオン収率向上とフラグメントイオンの抑制が今後の大きな課題である。組織切片など自然由来のサンプルには様々な生体高分子が存在するだけでなく、サンプル中に存在するKやNa原子が分子に付加する、アルカリ付加分子イオンも同時に検出されるため質量スペクトルは複雑になる。このため、高い質量分解能が2次イオン分析部には必要となる。現在市販されているSIMS装置の質量分解能は3000程度と低いため、新しい質量分析手法を取り入れることが必要である。Orbtrapなどの最新の質量分析手法を積極的に採用して数万の質量分解能を持つ新しいSIMS装置を今後開発していく。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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