研究課題/領域番号 |
23246013
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
石井 晃 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70183001)
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研究分担者 |
奥村 和 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30294341)
有澤 光弘 北海道大学, 薬学研究科, 准教授 (40312962)
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キーワード | 環境対応 / 計算物理 / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 薬学 |
研究概要 |
23年度は研究初年度として鳥取大・石井グループと北大・有澤グループ、鳥取大・奥村グループでそれぞれに研究を進めると共に、3グループが揃った研究会を鳥取大で開いて今後4年間の研究計画を確認した。 石井グループは金基板表面に硫黄とパラジウムが原子として吸着する計算を2×2表面で計算し、吸着パラジウムが硫黄の吸着で0価になることを突き止めた。また、硫黄が硫酸基として金表面の吸着する場合の構造決定の第一原理計算を行った。計算で予測した構造は有澤グループの実験結果に近い。 有澤グループはSulfur-modified Au-supported Pd ; SAPdはPdクロスカップリングの生成物中に殆どPdを残留させない(最大ppbレベル)上に、数百回の繰返し利用が可能な画期的な触媒であるが、構造が解明できてない。そこで、SAPdの理論計算をする上で必要な情報を収集すべく、SPring-8でのXAFS実験(PdとS)を行った。その結果、SAPdのPdとSがそれぞれ、Pdナノパーティクルと硫酸基であることを突き止め、計算科学をする上での重要なデータを得る事に成功した。 奥村グループはPd/USY触媒による鈴木カップリング反応での基質適応性,Pd溶出,ホモカップリング反応選択性について検討した。また担体であるUSYゼオライトに約150kJmol-1という非常に強いブレンステッド酸点が存在していることを明らかにした。金をさまざまなY型ゼオライトに担持し、酸強度の強い担体ほど金がよく分散すること、水素の存在が必須であることを見出し、直径約1.8nmの金ナノ粒子を調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鳥取大・石井グループは19年度~22年度までの科研費基盤研究Cの研究成果を土台として、北大・有澤グループと連携した硫化金基板上パラジウム触媒の構造決定について、第一原理計算は順調に進展している。北大有澤グループ、鳥取大奥村グループによる実験面からのそれぞれの触媒の構造決定も順調に進展している。唯一、鳥取大奥村グループのゼオライトを土台としたパラジウム触媒を鳥取大・石井グループの第一原理計算と連携させる部分は、新たに研究室配属される24年度の新4年生による計算実行を待っている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
北大有澤グループによる放射光実験施設SPRing8を用いたXAFSによる金基板上の硫酸基の構造決定とその上に担持させるパラジウムの構造決定は順調に進展すると思われるので、それと連携した鳥取大・石井グループによる第一原理計算も進展の見通しである。また、これが研究計画後半に予定しているこの触媒での鈴木・宮浦カップリング反応の大規模計算シミュレーションの土台となるので、こちらの計算の進展も24年度以降は期待できる。 鳥取大奥村グループによるUSYゼオライトによるPd触媒も、計算を担当する新4年生が決まり次第、奥村グループと石井グループによる連携で第一原理計算が進展する見通しなので、現在のところ、研究計画の実行に関して、特に問題は感じられない。
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