研究課題/領域番号 |
23246019
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
緑川 克美 独立行政法人理化学研究所, 緑川レーザー物理工学研究室, 主任研究員 (40166070)
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キーワード | アト秒パルス / 非線形光学 / 高次高調波 / 量子エレクトロニクス / 極端紫外光 |
研究概要 |
2001年に高次高調波によるアト秒パルスの発生が報告されて以来、理論および実験の両面から盛んに研究さているが、未だにその発生や計測は容易ではなく、期待される応用に対してもその強度は全く不十分である。本研究では、我々が考案した赤外パルスを重畳する2波長励起法を用いてマイクロジュール級の高強度単一アト秒パルス光源を構築し、その単一アト秒パルスを用いて観測される2光子二重電離のデータと理論計算との比較から、電子相関時間とその断面積を確定し電子相関に関する物理機構を解明することを目的としている。 平成23年度は、予備実験に用いた2波長励起レーザーシステムの高出力化を行い、基本波800nmと1.3μmの赤外光の2波長合わせて約20mJのエネルギーを得ることに成功した。実験では、この励起レーザーを長尺ガスセルに集光し、発生した高次高調波のスペクトルおよびエネルギーの計測を行った。その結果、800nm光および1.3μm光のエネルギーをそれぞれ8mJおよび2mJと設定し、非線形媒質としてXeガスを用いた場合、光子エネルギーで25eVから35eVの領域において、単一アト秒パルスの発生に必要な連続スペクトルが観測された。このとき発生した連続領域のエネルギーは、以前の計測結果と照らし合わせて1マイクロジュール以上であると結論された。この結果、本研究課題で計画しているアト秒パルスの高エネルギー化の手法が正しいことが実証された。今後は、この方式で得られた連続領域のスペクトルを多層膜鏡で取り出し、2光子電離等の実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、2波長レーザーの高出力化を行い、1μJ以上のエネルギーの発生を確認した。その後、予定どおり、そのパルス幅の計測を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり、2波長レーザーの高出力化を行い、1μJ以上のエネルギーの発生を確認したので、今後は、これを希ガスや2原子分子等に集光し、その多光子イオン化による信号を用いたパルス幅の計測を行い、単一アト秒パルスの発生を確認する。
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