研究課題/領域番号 |
23246024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
巨 陽 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312609)
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研究分担者 |
森田 康之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380534)
細井 厚志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60424800)
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キーワード | 金属ナノワイヤ / 応力誘導 / 原子拡散 / 表面酸化膜 / 電子輸送機構 |
研究概要 |
(I-1)高品質、単結晶Alナノワイヤの創製 ストレスグレーディングを駆使したAlナノワイヤ生成の実現とともにナノワイヤ生成の最適条件を見出した。 (I-2)テンプレート電着法による3次元Cuナノワイヤ配列の創製 ポーラスアルミナをテンプレートとして用い、電着プロセスによりシリコン基板上に3次元単結晶Cuナノワイヤ配列を作製し、各仕様なナノワイヤ配列を実現した。また、異なる寸法のポリカーボネートテンプレートを用いて、各仕様なCuナノワイヤ配列の作製を実現した。 (II-1)ストレスの勾配による原子の拡散速度に及ぼす影響の解明 フィックの法則より導かれる拡散方程式を解くことにより、ナノワイヤ形成に及ぼす拡散速度の影響を解明した。また、金属薄膜の厚さや温度などの最適条件の解析を行い、熱応力勾配の変化による原子拡散に及ぼす影響を明らかにした。 (II-2)温度による材料の表面酸化膜の形成速度に対する影響の究明 オージェマイクロプローブ装置を用いて金属薄膜の原子濃度分布を計測することにより、任意の温度における表面酸化膜の性状や形成速度を評価し、ナノワイヤ形成に及ぼす影響を明らかにした。 (III―1)マイクロ波原子間力顕微鏡の最適化 独自に開発したマイクロ波原子間力顕微鏡のプローブ先端のナノストラクチャーを最適化するとともに、超高感度なマイクロ波画像を構築することによって、金属ナノワイヤのマイクロ波イメージングを実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定されていた本年度の研究計画を順調に実施した上、創製した3次元Cuナノワイヤ配列を用いて、世界初の金属ナノワイヤ面ファスナーを実現した。
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今後の研究の推進方策 |
(I-4)高品質、高密度、他元素単結晶金属ナノワイヤの創製 前年度の研究成果を踏まえて、SiO2薄膜のコーティングや酸素雰囲気での加熱などを通して、いままで作製困難なAlナノワイヤの作製や、Auなど他元素金属ナノワイヤの高密度かつ高アスペクトの創製を実現する。 (III―3)金属ナノワイヤの電気伝導率のその場計測の実現 いままで実現困難であった金属ナノワイヤの長さ方向の電気伝導率分布のその場計測を実現する。さらに、校正プロセスおよび評価モデルの最適化を行い、ナノワイヤの電気伝導率の超高精度計測を実現する。 (IV-2)Cuナノワイヤのキャリア濃度、移動度の実験的に解析 開発した4探針ホール効果計側法の最適化を行い、作製した直径、アスペクト比の異なるCuナノワイヤのキャリア濃度、移動度の実験的解析を行う。さらに、ナノワイヤの直径によるキャリア濃度および移動度に対する影響を明らかにする。 (IV-3)元素の種類および結晶構造によるキャリア濃度、移動度に及ぼす影響の解明 作製した元素および寸法の異なる金属ナノワイヤのキャリア濃度および移動度の計測を行い、ナノワイヤの元素種類および結晶構造がキャリア濃度および移動度に及ぼす影響を実験的に解明する。 (V-2)金属ナノワイヤの電子輸送機構解明の実現 前年度の研究成果を異なる元素および結晶構造の金属ナノワイヤに応用し、新しいエネルギー準位の形成および表面の熱放出効果を考慮したナノワイヤの電子輸送機構を実験的かつ理論的に解明し、金属ナノワイヤの電子輸送機構の新しい理論基盤を構築する。
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