研究課題/領域番号 |
23246024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
巨 陽 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312609)
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研究分担者 |
細井 厚志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60424800)
森田 康之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380534)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 金属ナノワイヤ / 応力誘導 / 原子拡散 / 表面酸化膜 / 電子輸送機構 |
研究概要 |
(I-3)Cuナノワイヤ生成位置の制御および2次元配列の創成 イオンビーム加工により、Cu薄膜表面に損傷ポイントの2次元配列を導入し、指定位置でのヒロックの生長および高密度かつ高アスペクト比の単結晶Cuナノワイヤ配列の創製を実現した。 (II-3)温度による各材料の熱膨張係数に対する影響の解析 ナノワイヤは熱圧縮応力を緩和するように形成されるため、熱応力はナノワイヤ形成に伴い再分配される。そのため、Cu薄膜は徐冷過程でも熱応力の影響を受け、ヒロックが形成されることが確認されている。そこで、各温度状態における熱膨張係数の変化を考慮に入れ、Cu薄膜の熱応力状態を動力学的解析により明らかにし、ヒロックやナノワイヤの最適形成条件を解析的に明らかにした。 (III―2)金属ナノワイヤの電気伝導率の定量評価モデルの構築 理想状態での反射率を利用した電気伝導率の評価モデルの校正が不可欠である。本研究では、ナノワイヤ専用の校正サンプルを新規に開発することによって、その場での校正を実現し、電気伝導率のその場定量評価モデルを構築した。 (IV-1)4探針ホール効果計測法の開発 本研究では、独創的な発想に基づき、独自に開発した4探針原子間力顕微鏡プローブの最適化を行い、内側探針をナノワイヤ上に自由電子の平均自由行程より短い距離内に設置し、ローレンツ力により誘起される自由電子の移動で形成される電流を計測することによって、ナノワイヤのキャリア濃度および移動度の計測手法を開発した。 (V-1)自由電子の平均自由行程の実験的に解析 開発した各計測手法を用いて、pAオーダーからmAオーダーまでの電流を変化させ、Cuナノワイヤの電気伝導率、キャリア濃度、移動度の計測を行った。さらに、各直径のCuナノワイヤに対して、電流値の大きさによる自由電子の移動速度などへの影響を調査し、ナノワイヤの電子輸送機構の実験的解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定されていた本年度の研究計画を順調に実施した上、世界初の常温接合可能な金属ナノワイヤ面ファスナーを実現し、その機械的特性および電気的特性を定量的に評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(I-4)高品質、高密度、他元素単結晶金属ナノワイヤの創製 前年度の研究成果を踏まえて、SiO2薄膜のコーティングや酸素雰囲気での加熱などを通して、いままで作製困難なAlナノワイヤの作製や、Auなど他元素金属ナノワイヤの高密度かつ高アスペクトの創製を実現する。 (III―3)金属ナノワイヤの電気伝導率のその場計測の実現 いままで実現困難であった金属ナノワイヤの長さ方向の電気伝導率分布のその場計測を実現する。さらに、校正プロセスおよび評価モデルの最適化を行い、ナノワイヤの電気伝導率の超高精度計測を実現する。 (IV-2)Cuナノワイヤのキャリア濃度、移動度の実験的に解析 開発した4探針ホール効果計側法の最適化を行い、作製した直径、アスペクト比の異なるCuナノワイヤのキャリア濃度、移動度の実験的解析を行う。さらに、ナノワイヤの直径によるキャリア濃度および移動度に対する影響を明らかにする。 (IV-3)元素の種類および結晶構造によるキャリア濃度、移動度に及ぼす影響の解明 作製した元素および寸法の異なる金属ナノワイヤのキャリア濃度および移動度の計測を行い、ナノワイヤの元素種類および結晶構造がキャリア濃度および移動度に及ぼす影響を実験的に解明する。 (V-2)金属ナノワイヤの電子輸送機構解明の実現 前年度の研究成果を異なる元素および結晶構造の金属ナノワイヤに応用し、新しいエネルギー準位の形成および表面の熱放出効果を考慮したナノワイヤの電子輸送機構を実験的かつ理論的に解明し、金属ナノワイヤの電子輸送機構の新しい理論基盤を構築する。
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