研究課題/領域番号 |
23246028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 哲 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30283724)
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研究分担者 |
高増 潔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154896)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超精密加工 / マイクロマシン / マイクロ・ナノデバイス |
研究実績の概要 |
ナノ生産工学においてその重要度が高まっているレジスト,高分子,バイオ素材等のソフトマテリアルを加工対象として,50nm以下の空間加工分解能でナノ修正加工が可能な新しい概念の光触媒ナノ粒子工具チップ・マイクロ加工工具の開発およびその有効性の検証を目的とする.当該年度の具体的な達成項目は以下のようになる. (1) マイクロ加工工具・方位位置コントロールを実現する空間複合光場制御装置の設計・試作: 前年度までに構築した工具チップ放射圧制御・加工エネルギー遠隔伝達実験装置をベースに,空間位相変調ユニットをフーリエ変換ホログラフィ・ダイナミックマスクとして実装した空間複合光場制御装置の設計・試作を行った. (2) 原子間力顕微鏡による厳密な加工痕評価・同定方法の確立: 本申請研究の目的を達成するためには,前年度に光学的に観察された加工痕の詳細評価が必要となる.具体的には,観察加工痕の凹凸属性に加え,ナノスケールでの定量的な痕サイズ評価が不可欠となる.ここでは,原子間力顕微鏡の適用を考え,厳密な評価計測を実現するためのサンプル創製法を検討するとともに位置同定方法を確立した. (3) 数値シミュレーションによるナノ工具空間方位・位置制御メカニズムの解析: 工具チップとして採用を決定した酸化チタン光触媒ナノ粒子に対して,引き続き空間光場放射圧による力学挙動の解析を進めた.その結果,従来,酸化チタンマイクロ工具チップは,その高い屈折率のため,対向型配置によるCounter propagating trapでのみ三次元トラップが可能と考えられていたが,勾配力が支配的になる粒径50nm以下の酸化チタン粒子に対しては,光学設計が容易な一方向からのTweezers trapにおいても三次元トラップが可能となることを理論的に明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に達成目標としている,本申請研究コンセプト実証実験の準備ができたため.具体的には,厳密な実証実験を実現するための (1) マイクロ加工工具・方位位置コントロールを実現する空間複合光場制御装置の設計・試作 (2) 原子間力顕微鏡による厳密な加工痕評価・同定方法の確立 (3) 数値シミュレーションによるナノ工具空間方位・位置制御メカニズムの解析 からなる三大課題を達成したため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に達成した, (1) マイクロ加工工具・方位位置コントロールを実現する空間複合光場制御装置の設計・試作 (2) 原子間力顕微鏡による厳密な加工痕評価・同定方法の確立 (3) 数値シミュレーションによるナノ工具空間方位・位置制御メカニズムの解析 を組み合わすことで,本提案コンセプトの実証を試みる.具体的には,(1)で開発した試作装置を用いた上で,(3)の知見を用いたフォトン励起型マイクロ工具方位・位置制御を行い,回折限界超越加工を試みるとともにナノ加工の可能性について検討を行う.加工痕は,(2)の同定方法を用いて厳密かつ定量的な評価を行う.
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