研究課題
超短パルスレーザを透過性媒質に集光照射すると、光強度に依存して屈折率が変化し、自己集束する。光吸収性媒質中では、非線形吸収された光エネルギーがパルス終了後に熱に変わり、媒質内部に溶融あるいは局所アブレーション現象が生じる。本研究は、超短パルスレーザ照射による媒質中の光強度と吸収エネルギーを求め、熱伝導解析を行うとともに、その結果を用いて熱応力解析や亀裂進展解析を行う一連の解析システムを構築する。一方で、超短パルスレーザを用いて非線形吸収係数を測定するとともに、超短パルスレーザ精密微細加工装置を用いて透過性媒質の内部改質、溶接などの微細内部加工を行う。そして、上記解析システムを用いて加工メカニズムの解明、加工品質に関わるパラメータの究明と制御について、学術的に検討することを目的としている。本年度は、2011年度末に導入した超短パルスレーザと新たに導入したフィラメントビーム測定光学系を用いて、媒質内で自己集束したビームのビーム径とビームプロファイルを測定した。一方で、吸収性カー媒質中の超短パルスレーザの伝播、自己集束、非線形光吸収の光学的解析を行い、非線形吸収係数を算出した。さらに、2011年度末に導入した超短パルスレーザ精密微細加工装置を用いて、ガラスの内部加工実験と重ね溶接実験を行った。加工した試料の断面観察を行うとともに、熱伝導解析を行って、加工メカニズムの解明を行った。その結果、内部加工においては、焦点面深さやパルス幅などの加工パラメーターが加工領域の形状や非線形吸収に及ぼす影響を明らかにした。また、重ね溶接においては溶融部近傍の接合特性を明らかにした。これらは修士論文研究の一環で行ったので、今後これらの成果を学術論文や国際学会などで発表する。超短パルスレーザと精密微細加工装置は、大阪大学名教授や他専攻助教、奈良高専准教授らとも共同利用して、共同研究の道を開拓した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Analyses of self-focusing phenomenon and temperature rise in light absorption medium by ultrashort pulse laser irradiation
巻: 5 ページ: 472-480
10.1002/mawe.201300152