研究課題/領域番号 |
23246032
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西山 秀哉 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20156128)
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研究分担者 |
田中 康規 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (90303263)
高奈 秀匡 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40375118)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 機能性流体 / パルス放電 / 放電気泡 / 気泡ジェット / 高活性化 / ラジカル / 難分解性有機物分解 / 水質浄化 |
研究概要 |
本研究では、マイクロ放電を活用したプラズマ内包気泡流動システムを改良し、放電気泡ジェットのダイナミクス、放電気泡で生成されるラジカルの同定、処理液の物性値変化および様々な作動条件下で酢酸分解特性について主に実験的に明らかにした。得られた結果を要約すると、以下になる。 ①ストリーマ放電が気泡界面内側に沿って形成される。これは、気体と液体の誘電率の差によって界面で局所電界が強められるためである。また、ストリーマ放電が進展する速度を画像から算出した結果、約3×10 6 cm/sであった。 ②気泡内放電による発光を分光計測によって観察した結果、酸化力の強いOHラジカル(309 nm)、Oラジカル(777 nm)からの発光が確認された。 ③放電を伴う気泡ジェットによって、難分解性有機物の酢酸が分解が確認され、周波数が1,000 Hzと1,200 Hzの場合に最も分解量が多かったが、エネルギー効率は周波数の上昇と共に低下した。生成したOHラジカルの自己消滅反応により、周波数の増加と共に溶存過酸化水素濃度も上昇した。 ④酢酸分解量について供給ガス流量に最適値が存在し、流量が2.0 Sl/minの際に最も分解量が多くなった。一方で、エネルギー効率は流量の増加によって高くなった。放電回路に抵抗を挿入し、デューティー比を70%では、酢酸の分解量およびエネルギー効率が最も高くなった。また、抵抗がなくデューティー比が10%の場合と比較して約8倍高い分解効率となった。 ⑤収縮および膨張する気泡内放電に適用可能な高温・高圧下での空気あるいは空気混合気体でのストリーマ挙動やOラジカル、オゾン等の活性種の生成特性およびその経時変化を明らかにできる汎用性の高い数値モデリングに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微小気泡内で小エネルギーストリーマ放電を伴うプラズマ内包気泡流動システムを改良し、液中ラジカル生成による化学分解性の新たな機能性の付与の検証と機能性発現機構を解明し、難分解性有機物分解特性として、酢酸分解率やエネルギー効率も明らかにしたので。 また、温度や圧力の変化する気泡内化学反応過程の解明可能な数値モデリングに成功したので。
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今後の研究の推進方策 |
本流動システムで分解率やエネルギー効率をさらに増加させるために、ラジカルを連続的に生成する気泡内の放電時間を持続するための流動システムの構造や作動条件を最適化したい。また、放電により気泡を自動的に生成・消滅する部分をシステムに付与し、さらに省エネルギー化および輸送効果を目指し、流動システム評価をする予定である。また、気泡内化学反応過程と気泡ダイナミクスを融合した数値モデリングにチャレンジしたい。
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