研究課題/領域番号 |
23246033
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
齋藤 隆之 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10324328)
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研究分担者 |
梶島 岳夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30185772)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流体工学 / 計測工学 / 極短パルスレーザー / 光ファイバー / 混相流 / 気泡・液滴 / 数値解析 / 光線追跡 |
研究概要 |
1.これまでに開発してきた時間分解吸収分光計測の時間分解能をさらに高めて(10ピコ秒),石英ファイバーの屈折率変化[FPL(フェムト秒レーザーパルス)照射後50ピコ秒~800ピコ秒に発生すると予測]と石英分解(800ピコ秒~10ナノ秒に発生すると予測)に際に起こる物質変化の過程を捉えた(国際会議で発表).2.屈折率変化が起こる最小強度付近でFPLを打ち込み,フェムト秒オーダーの時間間隔(多光子吸収の発生時間のオーダー)で連続照射することにより,屈折率変化を達成する.透明物質(水など)をより少ないエネルギーで工業的に分解(触媒不要,極短パルス光による水素と酸素の製造)する基礎データを取得した.(論文を作成中).3.上記(1)と(2)の結果を基に,石英ファイバーを望みの精度で光マイクロ加工する装置(時間分解能800fs,加工精度500nm)を自作・完成させた(論文化,掲載済み).4.光線追跡シミュレーションと数値流体解析の結果を基に,高速微小液滴[径50μm(髪の毛の1/3),速度200m/s(時速720km=のぞみの2倍の速度)]を計測できる多層屈折率光ファイバープローブ(OFP)を設計・試作し,その性能を確認した.5.液滴/気泡の3次元運動方向をプレシグナルにより検知する精度を飛躍的に向上させるために,マルチビーム(多色レーザー)をOFPの信号光源とする.この効果を数値解析と実験により検証した.(論文化,掲載済み) 6.高速液滴の気流内での界面振動のモード,OFPとの接触時の界面振動の変化,液滴の3次元変形を内部エネルギーの保存性を確保して数値解析した.(論文化,掲載済み) 7.実験により得たプレシグナルデータとカップリング数値解析により得たデータとを比較検討し,発生機構を詳細に把握した.(論文化,印刷中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.前年度に購入したフェムト秒パルスレーザーの出力を上げる改造を行い,石英光ファイバーの加工ならびに透明物質(超純水)を用いた実験を行うことができた. 2.雑音の多い多層屈折率光ファイバープローブの出力信号の処理に有効な信号解析アルゴリズムをさらに精緻化,コード化し,データ処理を行うことができた. 3.昨年度に開発した3D光線追跡シミュレーションコードを,さらに高度化し種々の条件に適応できるよう会ぞすることにより,光信号の解析とプローブ設計の精緻化を図った. 4.気泡や液滴の界面を高精度に数値解析するコードを開発できた。
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今後の研究の推進方策 |
Fs-TOPを蒸気タービン内の流動計測に応用するための細部のチューニングを行う.また,屈折率グラデーション型光ファイバープローブFs-OFPを創製する. 1.透明物質である超純水とフェムト秒レーザーパルスとの相互作用に関する実験結果(時間分解光計測による分子のプラズマ化の過程)を踏まえ,石英ファイバークラッドの屈折率を石英ファイバーコア界面からクラッド外面に向かって変化させる加工方法を創製する. 2.前年度までに開発,自作した光マイクロ加工装置(時間分解能800fs,加工精度500nm)に上記(1)の結果を入力し,多層屈折率Fs-OFPを試作する. 3.前年度までに開発・確立した三次元光線追跡シミュレーションコードによる解析結果と上記の方法により加工された多層屈折率OFPによる気液検出信号(実験値)とを比較検討し,加工条件(フェムト秒レーザーパルス強度,連続照射インターバル,連続照射回数など)を最適化する. 4.多層屈折率Fs-OFPの微細部設計データを基に,同プローブを蒸気タービン内の流動計測に応用するための細部のチューニングを行う. 5.三次元光線追跡シミュレーションコードを用いて,マルチビーム(多色レーザー)を光源とする多層屈折率OFPにより液滴/気泡の3次元運動方向を計測する方法を考察する. 6.高速微小液滴の気流内での界面振動モード,Fs-OFPとの接触時の界面振動の変化,液滴の三次元変形を内部エネルギーの保存性を確保して,数値解析する. 7.以上を基に,高速微小液滴[径50μm(髪の毛の1/3),速度200m/s(時速720km=のぞみの2倍の速度)]を計測できる多層屈折率光ファイバープローブ(産業用)を開発する.
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