研究課題/領域番号 |
23246045
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小寺 秀俊 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20252471)
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研究分担者 |
鷲津 正夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10201162)
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キーワード | マイクロ・ナノメカトロニクス / マイクロTAS / iPS / 細胞 / エレクトロポレーション |
研究概要 |
平成23年度には、①細胞内への物質導入時の膜挙動と分子挙動計測②細胞内へ侵入した高分子挙動の1分子計測③率よいエレクトロポレーションデバイスの設計と開発の3項目に関して、SU8を用いて直径2um程度の孔を垂直壁面に設けたマイクロデバイスを作製して、エレクトロポレーション時の電場解析とその結果として得られる電界集中と物質導入過程の計測を行うと共に、水平膜によるプラスミドの導入による発現計測を実現した。特に、水平膜による実験では、オンチップエレクトロポレーションを用い,山中因子をHeLa/Fucci細胞に導入し,タイムラプス観察した結果, S期-G2期-M期で周期を停止する細胞が因子を導入しない場合に比べて有意に多いことが観察された。 数値解析に関しては、平成23年度には粒子法を基本に開発を行ったが、計算効率の悪さと精度の課題があり、平成24年度は境界要素法を用いて細胞膜および核膜をモデル化して、エレクトロポレーション時の電界集中シミュレーションと1分子挙動計測を比較検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粒子法から境界要素法への変更により、細胞膜と核膜の両方の膜の位置関係がエレクトロポレーションによる核膜通過に大きく影響することが分かり、実験結果をシミュレーションにより合理的に説明することができた。このことは、今後のデバイス設計と現象把握およびエレクトロポーレションの応用の拡大および細胞の初期化における高効率条件およびデバイス構造の最適化に大きく寄与することになる。
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今後の研究の推進方策 |
実用上重要であるプラスミド等の輸送を中心に解析を行う。遺伝子発現までを視野に入れた場合,非染色のプラスミドを用いた実験が望ましいと考えられるため,昨年度までに構築した電流計測に基づく電気穿孔の判定法が有用であると考えられる。しかしながら,予備実験において電気穿孔後の細胞の生存率が低く,改善が必要である。現在の所,温度管理,培地およびプラスミド濃度等について一つ一つ検討し,条件の最適化を行っていく。
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