研究課題/領域番号 |
23246058
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高木 信一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30372402)
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キーワード | MOSFET / ゲルマニウム / 移動度 / 反転層 / サブバンド |
研究概要 |
(1) Ge MOS界面移動度の精密評価技術 Ge MOS界面移動度の評価のため、Ge上にALD A1203を堆積した基板をECRプラズマ酸化し界面に高品質のGe酸化膜を形成する方法を開発し、最薄EOTで0.98nmのGe nMOSFETとpMOSFETの動作に成功した。また、split C-V法による移動度抽出に成功し、nMOSFETにおいて937 cm2/Vs(EOT=1.14nm)、pMOSFETにおいて437 cm2/Vs(EOT=1.09nm)の高いピーク移動度を実現した。また、この界面を用いたホール測定用MOSFETの開発も進め、素子構造や形状の最適化を進めた。 (2)Ge MOS界面移動度の系統的評価と散乱機構の明確化、面方位効果の明確化 前述のプロセスを用いて、(100),(110),(111)面基板上nMOSFETとpMOSFETの動作を実証した。(100)面上の素子に対し、移動度の温度依存性、ゲート絶縁膜依存性の評価を行い、移動度がMOS界面のクーロン散乱と界面ラフネス散乱によって支配されている可能性が高いこと、ゲート絶縁膜薄膜化により特にnMOSFETの移動度が低下することが明らかとなった。 (3) GOI MOS界面移動度の系統的評価と散乱機構およびGOI薄膜効果の明確化 SGOI、GOI MOSFETの移動度向上必要な高品質のSGOI、GOI層の実現のために、引っ張りひずみを有するひずみSOI基板上にSiGe層をエピタキシャル成長し、酸化濃縮法により、SGOI基板、GOI基板を作製する方法を提案・実証した。 (4) Ge/GOI MOSFETの界面移動度に与えるひずみの影響の明確化 ひずみSOI基板を用いた酸化濃縮プロセスにより、高い二軸圧縮ひずみが導入されたSGOI pMOSFETの実現に成功し、高い正孔移動度が実現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的としているすべての項目に対して、特に高品質の素子実証の観点から具体的成果が挙がっており、特に、有意義な移動度評価を行う上できわめて重要な、高移動度素子を作製できる方法が確立されつつある。移動度特性は、世界的に見ても最高レベルを実現している。
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今後の研究の推進方策 |
移動度評価と物理機構解明の点でカギとなる高品質のホール素子の実現を目指す。また、サブバンド効果を明確化に観測できるようにするために、(100)面以外の面方位の界面特性の最適化を進めて、より高い移動度の素子の実現を目指す。フォノン散乱移動度の観測のため、更に界面特性の改善を進めると共に、更なるEOTの薄膜化を試み、移動度劣化機構を探る。酸化濃縮GOIチャネルに関しては、濃縮プロセスの最適化をすすめて、チャネル品質を一層向上させ、移動度の増大とサブバンド効果の発現を目指す。
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