研究概要 |
本研究では参照光と物体光を同軸としたコリニア方式を用いた磁気ホログラムの記録ノイズの低減と3次元方向のシフト多重記録による高記録密度化を目的とし,記録品質の改善及びメディアの解像度について検討を行った. 記録画像サイズの検討:コリニア方式の磁気ホログラムでは,信号光と参照光の相対的間隔によって干渉縞の電界分布が変化し,高電界部で干渉縞を記録する.シミュレーションおよび実験により,信号光直径を小さくすることで高電界部の強度分布が一様となり,干渉縞の高周波成分まで正確に記録できるようになることを明らかにした. 熱拡散による影響:熱磁気記録方式を用いる磁気ホログラムでは,メディアの温度上昇で記録するが,それに伴う熱拡散により正確な干渉縞の記録が妨げられる.シミュレーションにより記録レーザのパルス時間(加熱時間)の影響を調べた結果,熱拡散を抑えるためには10^-9秒オーダ以下のパルス時間が望ましいことが分かった。実験的にも,熱拡散の影響が大きい高い空間周波数領域でパルス時間25ナノ秒より50ピコ秒で記録した方が高い回折効率を示し,短パルスレーザの有効性を確認した. メディア解像度の検討:ホログラムを記録するガーネットメディアは粒径40nm程度の多結晶膜であり,個々の結晶粒が磁化反転することで情報を記録している.粒径が異なるメディアを作製してホログラム記録を行い,回折効率の評価を行った結果,0.1%以上の回折効率を得るには干渉縞1 line中に結晶粒子が10~20個必要であることがわかった.これよりコリニア方式磁気ホログラム記録品質を改善するには,ガーネット粒径を25nm以下にするのが有効であることがわかった. 記録密度の向上:面内2方向おシフト多重記録を行い,重なって記録した部分から再生像を確認することができた.さらに膜厚方向への多重記録が可能であることを実験で示した.これにより3次元方向での多重記録によるさらなる高記録密度化が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度でホログラムメモリ記録のノイズ低減方法の基礎検討は確立できた。 来年度は,当初の予定通り,光磁気エンハンストメディアの形成と特性解明,コリニア磁気ホログラムの多重性,磁気ホログラム記録再生データのストレージとレての評価を行い,最終的にコリニア磁気ホログラムメモリプロトタイプシステムを構築する。
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