研究課題/領域番号 |
23246064
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平本 俊郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20192718)
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キーワード | 電子デバイス・機器 / 半導体物性 / 大規模集積回路 / Beyond CMOS / 単電子トランジスタ |
研究概要 |
本研究の目的は,ナノスケールの半導体構造中で新たに発現する物理現象を積極的に利用したいわゆるBeyond CMOSデバイスと,既存のCMOS回路を融合させることにより,新たな新機能を創出する新概念集積回路を実現することである.Beyond CMOSデバイスとして,本研究では室温動作のシリコン単電子トランジスタを取り上げる.まず,単電子トランジスタと同じ基板上にほぼ同じプロセスを用いてノーマリーオフの特性を有する標準CMOSデバイスを作製することに成功し,基本的なCMOS論理回路の動作を実証した.次に,室温動作単電子トランジスタを歩留よく作製するプロセスの開発を行った.試作条件を変化させた結果,単電子トランジスタの特性および歩留が,基板の面方向および電荷の極性に依存することを見いだし,<110>方向の電子を用いるのが最適であることを明らかにした.また,その理由をシリコンナノワイヤにおける量子閉じ込め効果で説明できることも明らかにした.この条件で単電子トランジスタを試作し,室温で大きなクーロンブロッケード振動を有する単電子トランジスタの作製に成功した.一方,室温動作単電子トランジスタを直接制御するより大規模なCMOS回路として,種々のディジタル・アナログ変換回路等を東京大学大規模集積システム設計教育研究センターの試作サービスを利用して試作し,その回路動作を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標である室温動作単電子トランジスタと既存のCMOS回路の融合による新機能創出にむけ,同じチップ上に室温動作単電子トランジスタとCMOS回路を集積することが可能となったので,本研究は着実に進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
同じチップ上に室温動作単電子トランジスタとCMOS回路を集積した際の歩留はまだ低く,さらなるプロセス改良を進めていく.
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