研究課題/領域番号 |
23246065
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
三村 秀典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90144055)
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研究分担者 |
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (50312674)
長尾 昌善 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (80357607)
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キーワード | 多段ゲート電界放出電子源 / マイクロカラム / 電子ビーム / ビーム集束 / 収差 / 電子銃 / 静電レンズ |
研究概要 |
本研究は電子顕微鏡等に利用できる静電レンズと電界放出微小電子源を一体形成したマイクロカラムを開発することを目的としている。まず、従来開発した5段ゲート微小電子源からなるマイクロカラム構造の収差を詳細にシミュレーションで検討した。その結果、近軸のビームがクロスオーバーを結んでいないこと、またマイクロカラムにおいて最大のメリットともいえる相似則が適用されていないことや球面収差などの影響を大きく受けていることが分かった。そこで、従来の5段ゲート微小電子源より、より収差が少なくなるマイクロカラムを検討した。その結果、静電レンズには加速型レンズを使用することで収差係数を小さくできることが分かった。また、静電レンズに入射する前の電子ビームの速度を、(1)10~30eV程度に低速に、(2)レンズ開口径の1/3以下のビーム径に、(3)エミッタンス20mrad程度の平行ビームにするという最適化を行うことでサブミクロンの電子スポット径が得られることが分かった。この理由は、(1)に関しては相似則による理想的な光学系に近づけるため、(2)に関しては近軸を通過させることで球面収差の影響を少なくさせるため、そして(3)に関しては光学系においてレンズに対して平行に入射した粒子ビームは結像させるのに有利なためである。そこで、新たな4段ゲート型微小電子源からなる電子銃部の設計を行った。この電子銃部から出る電子を3ミクロン厚、開口径4ミクロン静電レンズに通すと1mm先のアノード上に180nm径の電子スポットの形成が可能なことがわかった。実際にマイクロカラム試作するため、プロセス開発を行い、4段ゲート型電子銃部を作製できる要素技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブミクロンの電子スポット径を得ることができる電子銃の設計を修了した。プロセス技術の開発も修了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、4段ゲート型微小電子源からなるマイクロカラムの製作を行い、既に開発しているスリット走査法(ナイフエッジ法の改良版)を用い、正確な電子ビーム径の評価を行う。
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