研究課題/領域番号 |
23246065
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
三村 秀典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90144055)
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研究分担者 |
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (50312674)
吉田 知也 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80462844)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 多段ゲート電界放出電子源 / マイクロカラム / 電子ビーム / ビーム収束 / 収差 / 電子銃 / 静電レンズ |
研究概要 |
本研究は電子顕微鏡等に利用できる静電レンズと電界放出微小電子源を一体形成したマイクロカラムを開発することを目的としている。従来の5段ゲート微小電子源の延長でマイクロカラムを開発していたが、相似則に完全に従うことができないため球面収差を抑えることができないことが分かった。そこで、電子ビーム軌道解析により、従来の5段ゲート微小電子源より、より収差が少なくなる4段ゲート型マイクロカラムの設計を行った。設計の要点は、①静電レンズに入る電子ビームのエネルギーを10~30eV程度に低速に、②収束電極によりレンズ開口径の1/3以下のビーム径に、③エミッタンス20mrad程度の平行ビームに、④より収差の少ない加速型の単孔レンズを用いる、ことである。平成24年度は設計したマイクロカラムを実際に制作し、その機能が設計にかなったものであるか、マイクロカラムのビーム特性を測定した。その結果、①静電レンズに入る電子ビームのエネルギーを20eV程度に低速化することができる、②収束電極を動作させることにより、レンズ開口径の1/3以下のビーム径にすることができる、③エミッタンス20mrad程度の平行ビームにすることができる、④ビームのクロスオーバを作ることができる、⑤400倍の拡大光学系において、アノード上でビーム径を40ミクロン以下とすることができる、ということが分かった。以上のことより、ほぼ設計通りの機能を持つマイクロカラムを製作できた。しかし、400倍の拡大光学系とはいえ、ビーム径40ミクロン程度と、電子顕微鏡のマイクロカラムに応用するためには、まだまだビーム径が大きい。そこで、より小さなビーム径を得るためにウエネルト電極の検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
達成度90% 1)電子顕微鏡に応用可能な静電レンズと多段ゲート微小電子源を一体集積したマイクロカラムを設計・試作し、その設計通りに動作することを確かめた。これは、世界で初めてである。 2)400倍の拡大光学系とはいえ、ビーム径40ミクロン程度と、電子顕微鏡のマイクロカラムに応用するためには、ビーム径が大きい。 従って、達成度は90%とした。
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今後の研究の推進方策 |
1)電子ビーム径のさらなる縮小のために、ウエネルト電極の検討を行う。 2)ビームクロスオーバーは静電レンズの直後に形成されているものと考えられるので、ビームクロスオーバー実際径の測定を試みる。 3)電子顕微鏡に応用可能なマイクロカラムを製作する。
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