研究課題
当該年度においては、最終目標である周波数領域THzトモグラフィシステムの開発に向け、まず「広スペクトル幅(低コヒーレンス)テラヘルツ信号源」を用いた3次元イメージング(時間領域トモグラフィ)システムの開発に着手した。時間領域THzトモグラフィシステムを構成するコア技術として、(1)300GHz帯において、スペクトル幅とその中心周波数を連続的に変化させることのできるテラヘルツ信号源の開発(中心周波数:250GHz~400GHz、スペクトル幅:10GHz~100GHz、最大平均出力:>50μWを達成)、(2)小型マイケルソン干渉計の開発(ビームスプリッタの設計手法を開発し最適化を達成)を完了し、今年度の目標としていた、時間領域トモグラフィシステムによる3次元イメージング画像の取得に世界で初めて成功した。2次元方向ならびに深さ方向の空間分解能は、それぞれ、2nm、1nm程度であり、上記テラヘルツ信号源の中心周波数、帯域ならびに光学系から理論的に得られる限界値と一致したことから、さらなる分解能向上のためには、より高い周波数のTHz波を利用することが最も有効であることが明らかになった。本成果を国際会議において発表し、最優秀学生論文賞の獲得や、OCT News (Optical Coherence Tomography専門ニュースサイト)に取り上げられるなど、国内外からの高い評価と反響を得た。また、今年度開発した技術をベースにして、次年度から、周波数領域THzトモグラフィシステムの開発に展開するために、周波数を高速に掃引するTHz波信号源の開発に着手し、200GHzから500GHzを0.1秒以内で連続掃引できる信号源の開発に成功した。以上、当初の計画どおり、時間領域THzトモグラフィシステムを所期の性能で実現し、該システムで最適化した干渉計を用いて周波数領域型トモグラフィに展開できる見通しが得られた。
1: 当初の計画以上に進展している
目標としていた、300GHz帯の低コヒーレンステラヘルツ信号源を用いた「時間領域トモグラフィ」システムを構築し3次元イメージングに成功、国際会議に発表し、最優秀学生論文賞として高い評価を受けたこと、また、周波数領域トモグラフィへの展開に向けて、高速周波数掃引型信号源の開発を完了したこと。
時間領域トモグラフィの開発に早期に成功し、またその有用性が確認されたことから、可能な限り、計画を前倒しで研究開発を進め、実用に向けた諸課題を明らかにしていきたい。
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IEICE Electronics Express
巻: vol.18 ページ: 1127-1142
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Appl.Phys.Express
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