研究課題/領域番号 |
23246071
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 正人 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (40342836)
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研究分担者 |
石坂 智 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (10443631)
松本 隆太郎 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (10334517)
小柴 健史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60400800)
小川 朋宏 電気通信大学, その他の研究科, 准教授 (00323527)
西村 治道 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (70433323)
渡辺 峻 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (70546910)
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キーワード | 通信路 resolvability / 盗聴通信路 / 放送型通信路 / ユニバーサル符号 / 量子ネットワーク符号 / 量子対話型証明 / 汎用ブラインド計算 |
研究概要 |
マルチユーザ型の情報理論において,盗聴通信路及びそれを拡張した放送型通信路に注目し,達成可能な漏えい情報量の上限を導出した.さらに,既存の誤り訂正符号を用いることで現実的な計算量で実現可能な符号化法を与えた.この構成においては,従来の通信路 resolvability 定理を代数的な形式に拡張した.定常無記憶性の下,通信路の数学的構造に依存せずユニバーサルに機能する符号を構成した. 一方,量子系に関しては,盗聴通信の場合に通信路 resolvability 定理を拡張し,秘匿性を保証するために用いられる乱数が一様でない場合の符号化を構成した.さらに,盗聴通信としての通信路容量よりも大きいサイズの情報を送る場合,漏えい情報量が符号のブロックサイズに関して線形となるが,equivocation rateとよばれるこの係数を特徴づけた.特に,degraded通信路の場合に,その係数を陽に求め,その判定アルゴリズムを与えた.定常無記憶性の下,通信路の構造に依存せずユニバーサルに機能する符号を構成した.degraded通信路を含むクラスとしてmore capableとless noisyと呼ばれる量子通信路のクラスを導入しそれらの特徴づけに成功した.さらに,量子ネットワーク符号においてマルチプルユニキャスト型のネットワーク上で効率的に量子情報を伝送する新しい符号化プロトコルを提案した.これは2009年に発表された符号化プロトコルに比して通信量を改良するものである. 量子暗号プロトコルの基盤となる量子対話型証明について研究し,証明が古典に場合における成功確率を増幅する手法を発見した.そして,テレポーテーション型の観測ベース量子計算の枠組みで安全な代理計算方式を実現した.この方法を補助キュービット駆動型の枠組みへ適用できるようにし,補助キュービット駆動型の汎用ブラインド計算方式を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,目的とした盗聴通信路を含む放送型通信路に関して,十分な成果が得られ,その量子系への拡張も順調に進んでいる.さらに,量子ネットワーク符号についても,順調に成果が出ている. その他,量子暗号プロトコルの基盤となる量子対話式証明やセキュアな計算方式に関する成果も十分に出ており,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
24年度は,シンガポール国立大学の量子技術研究センターと共同で,国際会議Japan-Singapore Workshop on Multi–user Quantum Networksを開催することができた.今後も海外の研究機関と共同で国際会議を開催することで,国際的に我々の研究活動をアピールしていきたい. なお,25年度から徳島大学の渡辺峻氏が,日本学術振興会の海外特別研究員に採用されたため,研究分担者から抜けることとなった.大きな損失であるが, 渡辺氏と共同研究を進めることで戦力ダウンとならないように進めたい. NICTのプロジェクトや分担者である小柴氏が代表を務める基盤A科研費プロジェクトと連携し,研究を推進させたい.
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