研究課題/領域番号 |
23246072
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 健一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00377805)
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研究分担者 |
長谷川 浩 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40323802)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光ノード / 光スイッチ / ノードアーキテクチャ / 光信号分岐挿入部 / チューナブルフィルタ / 波長ルーティング |
研究概要 |
現状のインタ-ネット技術では,世界の人口の1/3が10 Mbps級のブロードバンドを利用した場合,必要な電力は世界の総発電電力の1/2に達すると予測されている.1992年に申請者らが提案した光パスルーティングは大容量性,低消費電力性(ルータと比べて,2~3桁小さい)の観点で極めてインパクトが大きく,現在ROADMとして世界的に導入が進められている.しかし,その導入は未だ限定的で、大規模なノードへの導入は実現されていない。その主な理由は、(1)現行のROADMシステムではノードで始終端する信号の波長や方路選択の自由度が大きく制約される,(2)効率的な大規模光ルーティングスイッチが経済的に実現できない,にある.本研究の目的は,上記2つの課題を解決する技術を開発するものである.本研究期間の研究成果の概要を以下に示す. (1)波長や方路設定に関する制約が無く自由に光信号をadd/dropする為の新しいアーキテクチャを実現するために,1x64光スイッチモジュール並びに新しいアイデアに基づく192チャンネル用チューナブルフィルタの試作を行いその特性を評価し,所望の結果を得た.これらの導入によりadd/drop部分のハード規模が大幅に低減できる事を定量的に明らかにした.また,さらにadd/drop部を小型化するための新しいアーキテクチャが,ネットワークの性能に与えるインパクトを解析するための設計アルゴリズム並びに設計ツールの開発に着手した. (2) 大規模な光ルーティングノードの光スイッチを実現するに当り,波長ルーティングの適用性を明らかにし,大規模スイッチの実現性を示した.また,高速の切替が可能となる波長可変レーザが必要となるため,現状の技術で低コストで得られる波長可変レーザに関して,可変速度の評価を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究課題の解決に向けて精力的に研究を進めており,予想以上の進捗を得た.研究成果発表は国外・国内の会議で積極的に行なった.特に,国際会議では6件の招待講演を含む26件の講演,国内会議では2件の招待講演を行ない,またIEEE/OSA JOCN,電子情報通信学会誌へそれぞれ招待論文を発表した.また,本分野で最も重要な国際会議の一つOFC/NFOEC 2013での発表論文が,2013 Corning Outstanding Student Paper CompetitionのSemi-finalistに選定されるなど,本研究成果は,国内外で高い評価を受けた.
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今後の研究の推進方策 |
光集積回路の試作においては,世界をリードする最先端の企業(例えばアレイ導波路回折格子は日本企業が世界的に大きなシェアを占めている)との密接な連携により,申請者らのアイデアに基づく世界最高性能の各種光機能集積回路チップを実現した.今年度は,そのモジュール化とともに,さらに新しいアイデアに基づく光機能素子の試作を行なう.各種デバイスの仕様の決定には,適用領域やネットワーク条件に応じた最適化が必要となるため,ネットワーク設計と密接に連携して研究を遂行する. 研究代表者は,全体の統括と主にハード設計に関する部分を担当し,分担研究者は主にネットワーク設計を担当している.上記の様にハード設計とネットワーク設計は相互に深く関連しているため,研究打合せは一体として行うなど,最大限の相乗効果が得られる体制で研究を進めている. ハイパージャイアントコンテンツホルダの出現とともに,現在ネットワークは大きな変革の時を迎えている.本研究領域はデータセンタの光化を含め,今後さらに大きな発展が予想されている.本研究課題終了後はさらに広範囲なアプリケーション領域を想定した課題として発展させたいと考えている.
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