研究課題/領域番号 |
23246073
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
門 勇一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90500223)
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研究分担者 |
上田 哲也 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (90293985)
島崎 仁司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20226202)
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キーワード | 先端的通信 / 電子機器 / ユーザインターフェイス / ネットワーク / 人間生活環境 |
研究概要 |
平成23年度は(1)人体近傍微弱電界通信技術の確立と(2)ヒューマンエリアネットワークの構成技術の確立を目指して研究を開始した。改札ゲートやセキュリティなど幅広い応用を目指して、人体に装着するトランシーバと環境や機器に埋め込むトランシーバ間の通信を想定して研究を推進した。 (1)では、●「電界通信用トランシーバの基本技術確立」のため、有限要素法による電磁界シミュレーションを行い、近傍電界結合通信に適したキャリア周波数帯を決定した。具体的には、空間への信号放射を抑制し、人体表面での伝搬損失が小さい周波数帯として10~20MHz以下の短波帯が適当であること、1MHz以下では環境雑音レベルが高いので下限の周波数を2MHz以上が適当であることを明らかにした。更に、日本の微弱無線規格を満たす事を想定すると、環境に埋め込むトランシーバの電極の上に、人が乗る場合に最も空間への放射が強くなる。この観点からは上限周波数を10MHz以下とするのが妥当であることを明らかにした。 ●「電界通信専用評価手法確立」のため、MHz帯で人体と電気的に等価な材料よりなるファントムモデルを作製した。 ファントム上に設置したトランシーバが受信する交流電圧を正確に測定するため、AC電源に接続されたスペクトルアナライザー等の測定系が測定値に及ぼす影響を実験とシミュレーションで明らかにした。この結果を踏まえて、EO-OE変換技術を用いて電気的に分離した測定技術の検討を開始した。 ●「通信路の高精度モデル化と回線設計論の確立」のため、通信路を回線設計に必要な精度をもつ分布定数回路網でモデル化した。 (2)では、●「ネットワーク基本構成」の検討を開始した。通信用トランシーバの1対1の通信のみでなく、1対N(複数)の通信を可能とする通信制御用のファームウエアを実装して、実験用トランシーバを用いて時分割多重による1対Nの通信実験に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は主な通信仕様の決定、人体上の交流信号強度の評価手法の検討、通信品質評価システムの構築、更に、実験用トランシーバの設計とプロトタイプの試作を完了した。総じて、実環境での使用を想定したトランシーバの無線仕様の決定、装着型及び環境埋め込み型トランシーバの試作、及び通信品質評価を本格的に推進する基礎固めを完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、以下を強化する。(1)人体上のトランシーバが実際に受信している交流信号強度の評価を正確に行うため、被測定対象と電気的に分離されたEO-OE変換を用いた信号測定技術の確立。(2)医療応用などを想定してIn-BodyからOn-bodyのトランシーバへのデータ伝送、更にはOn-bodyから人体を介した環境埋め込みトランシーバ(Off-body)へのデータ伝送を可能とするヒューマンエリアネットワーク構成技術の確立、(3)ユニバーサルインターフェイス化に向けて、世界で普及が進んでいる非接触ICカードと通信できるインターフェイスを実装したトランシーバの試作(物理層は本研究の近傍電界結合通信技術)。
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