研究課題
電気自動車において基幹部材として用いられるモータは,軟磁性材料と永久磁石材料との組み合わせから成り立っており,各々の磁性材料の特性向上が必須である.これらの磁性材料の開発の際には,磁性材料の磁化状態とモータとしての最終形態での固定子-回転子間の漏洩磁界および磁界勾配等の静的・動的特性との相関を把握することが必須であるが,現状これを可能とする分析システムは見あたらず開発が加速できていなかった.すなわち,モータ等の巻き磁芯形態の試料に対し,非接触で磁化状態や漏洩磁界分布を評価できる分析システムの開発が渇望されていた.本研究では,低損失軟磁性材料ならびに少・脱希土類永久磁石材料の迅速な開発を行うため,「磁性材料からの漏洩磁界の空間分布を可視化する技術」と「局所領域の磁気光学効果スペクトルを短時間で検出する技術」を確立し,多機能分析磁気光学(MO)評価システムを構築することを目的とする.平成24年度は,複合材料の局所組織毎の磁気特性を取得するため,磁気光学効果スペクトルを短時間で検出する技術を確立した.従来のMOスペクトルの測定法は「白色光を単色化して試料に入射させ,磁界を掃引してMO効果の履歴曲線を取得する」という操作を波長毎に反復する手法による.測定時間は波長数に比例するため,高波長分解能化と測定時間の短縮化との両立が求められていた.本研究では,白色光を試料に入射し検出側で分光した後,エリアセンサやアレイセンサを用いて波長情報を空間情報に変換してスペクトルを検出する手法に着目した.これにより,数分程度の一回の磁界掃引でMO履歴曲線の波長依存性(535-935 nm あるいは900-1700 nm)を一括して分光検出する装置を構築した.
2: おおむね順調に進展している
当初予定通りに磁気光学スペクトルの一括評価装置を作製することができた.変調法が必要だと考えて計画を立案したが,エリアセンサは電荷蓄積型素子からなるデバイスであるため,微小磁気光学信号の高S/N検出のためには光量を多くすることが有効であることがわかった.
平成23-24年度により,空間磁界マッピングや局所磁気特性評価を可能とする光学系が完成した.平成25年度は,それぞれの光学系を実稼動させながら,両者を組み合わせたシステムを構築する予定である.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Journal of Applied Physics
巻: Vol.113 ページ: 17A339-1 ‐ 17A339-3
10.1063/1.4799969
IEEE Transactions on Magnetics
巻: 49 ページ: 印刷中
10.1109/TMAG.2013.2243714
http://www.takahashi.ecei.tohoku.ac.jp/