研究課題/領域番号 |
23246075
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
櫛引 淳一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50108578)
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研究分担者 |
荒川 元孝 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00333865)
大橋 雄二 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50396462)
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キーワード | 超精密超音波計測 / ワイドバンドギャップ半導体 / 超音波マイクロスペクトロスコピー / 材料定数 / 欠陥評価技術 |
研究概要 |
六方晶系に属するAIN、ZnO、SiC、GaNなどのワイドバンドギャップ半導体は、圧電性とともにSiに比べて3~5倍大きいエネルギーバンドギャップを有しており、発光デバイスや大容量パワーデバイス等の将来の環境に優しい小型で高効率なエコデバイスとして期待されている。より高効率・長寿命なデバイスを実現する上で、デバイスの構成要素である膜の高品質化・高均質化とともにホモエピタキシャル膜を作製するための高均質バルク単結晶基板が不可欠であり、それには高精度な評価技術が重要となる。そこで本研究では、超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術による新しい半導体材料評価法の確立を目的として、上記バルク単結晶及びホモ/ヘテロエピタキシャル膜の化学的・物理的・電気的・光学的諸特性を音響特性(漏洩弾性表面波およびバルク波(縦波、横波)の位相速度と減衰)から間接的に高精度に評価する手法を開発する。 本年度は、UMS技術による評価のための基礎(標準試料)となる、バルク単結晶(特に、AlN、GaN)の音響関連物理定数決定を行った。また、残留応力の評価法検討について、最も簡単なモデル構築のために等方性であるシリカ系ガラスを用いて、熱膨張率の異なる基板を準備しSiO_2膜を成膜した試料を作製した。また、超高周波バルク波伝搬特性計測システムの開発のための超音波発生デバイスの試作検討として、ZnO薄膜トランスジューサ用の下地電極の検討を行った。SiO_2ガラス基板上に配向性Ru電極をRFマグネトロンスパッタリング法により成膜し、その上にZnO薄膜をDCスパッタリング法で成膜した。従来の無配向金電極上のZnO膜よりも配向性のよい膜の作製に成功した。さらに、小型超精密移動機構、恒温チャンバーを導入した新しいシステムの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である4項目のうち、評価の基礎となるバルク単結晶の音響関連物理定数の決定と、結晶評価法の検討における残留応力評価の基礎検討用試料の作製、高周波バルク波伝搬特性計測システムの開発に関する予備検討が進展したことから、全体の1/3程度は進展しており、3年計画の初年度の成果としては十分で、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現状で計測法の高周波化は2GHz帯までが実現可能であるが、より高周波~20GHz帯まで拡張する上で、高周波超音波発生デバイスの作製・評価における、成膜技術上および計測技術上の大きなハードルがある。高周波デバイス用の成膜や評価解析に精通しておられる千葉大学の橋本教授を研究分担者として参画して頂き、技術的なサポートを得ながら開発を進める予定である。
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