研究課題/領域番号 |
23246082
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
山口 宏樹 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50134474)
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研究分担者 |
奥井 義昭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40214051)
松本 泰尚 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90322023)
睦好 宏史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60134334)
浅本 晋吾 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50436333)
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キーワード | 構造工学・地震工学 / 土木材料 / モニタリング / 振動減衰 / 橋梁健全度評価 / 腐食 / 減衰解析 |
研究概要 |
鋼部材,コンクリート部材,その接合部での損傷がもたらす局所的付加減衰とそのメカニズムを解明すること,供用時振動計測・減衰変化モニタリングに基づき橋梁の構造健全度を評価する実測・解析ハイブリッド方法を確立することを目的とした.平成23年度の研究概要と研究成果は以下のとおりである. 1.鋼・コンクリート界面での腐食が減衰に及ぼす影響を検討するため,鋼板をモルタルで挟んでボルトで結合した実験供試体を作成し,電食試験により導入した異なる腐食段階ごとに打撃試験を行って減衰を計測した.その結果,腐食の進行に伴い減衰が大きく増加する傾向が認められたが,有限要素解析結果から,境界部が腐食した際に摩擦減衰により大きな減衰付加が生じたと考えられた. 2.PC鋼棒の腐食に伴う減衰付加に関するはりの実験モード解析を行った.アンボンドタイプのPCはりを対象として,電食試験によりPC鋼棒を電食させ,打撃試験により対数減衰率を求めた.その結果,健全時に比べPC鋼棒とシースの接触がなくなったために腐食前後で減衰付加が見られず減衰が小さくなったこと等,付加減衰メカニズムの予備検討を行うことが出来た. 3.綱トラス橋,鋼ランガー橋を対象に,構造物の減衰エネルギーを要因別に積み上げ評価するエネルギー的減衰解析を行った.実験モード解析では,供用時振動の多点同期計測で得られた振動レベルの異なる自由振動に対してERA解析を行い,安定した同定を抽出する指標としてのEMACの有効性を示すとともに,理論モード解析では,実験モード同定結果を参照値として有限要素モデルのmodel updatingを行い,高精度な理論解析モデルによる解析を行っている.減衰解析の結果,減衰解析を行う際に配慮すべき点が明らかになり,減衰に着目した実橋梁の損傷同定に向けて,エネルギー的減衰評価法に基づく減衰解析の適用の可能性を示すことが出来た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鋼橋とコンクリート橋,各1橋につき,供用時の振動計測を行ってモード減衰データを得ることを予定していたが,研究代表者が怪我をしたことや購入予定であった振動計測センサーの納品に時間を要した(年度を超えてしまった)ことにより,23年度中には実施できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
23年度中に実施できなかった実橋の供用時振動計測は24年度に行ってモード減衰データを得ることが可能であること,実橋振動計測以外は着実に研究が進展していること等から,今後も当初予定通りに研究を推進していく方針であって,研究計画の大幅な変更はなく,研究を遂行する上での問題点もない.
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