研究課題
24年度の研究より得られた知見は以下のとおり。①調査対象国に関して、海外建設業者がほぼ日本企業に集中している台湾を予備調査した結果、同国を調査対象国に入れることによって、さらに「発注・契約方式と品質確保のしくみの関係」の国際比較、すなわち、日本、中国、韓国、シンガポール、英国、米国間の比較結果の差異が鮮明になることが認識された。②調査対象国における発注・契約方式の30年間の変遷を比較することを試みた結果、各国ともに、発注者、設計者、施工者の間のリスク分担関係の変化とそれに伴って発注・契約方式/制度が流動化している知見を得た。この課題は引き続き詳細に調査することとした。③その中で、特に、日本の設計施工、英米のデザインビルドの差異がより鮮明になり、端的には日本の設計施工一括発注方式が各国の法制度、職能性になじむ形で変化しているのではないかという仮説を得た。④プロジェクト組織並びにその中の施工チームの担当業務ごとの企業・技術者の国籍・人員を、シンガポールでのプロジェクトを対象に分析した結果、日本、韓国、中国の企業が編成する施工チームの構成内容に顕著な差異が観察された。この要因にはそれぞれの母国で実践している品質確保のしくみの影響が出ていることが考えられ、より本格的な調査を行うこととした。⑤一方で、各国の建設プロジェクトに関わる法制度の比較は検討の範囲が広範なものとなり、当初の研究目的に照らして得策でないとの判断から、発注・契約制度に関わる法制度に限定することとした。⑥国内外の研究協力者が参加した国際会議「第1回国際発注・契約研究会議」を一般にも公開して開催した。テーマは、各国の発注・契約方式の30年間の変遷、ならびにその中での特徴的な発注・契約方式の発表であった。70人程度の参加の下、活発な意見交換が行われた。今年度も継続して開催することとした。
2: おおむね順調に進展している
1.調査対象国に訪問、調査研究課題に関して調査を行い、研究実績に記述した知見を得ている。2.当初に掲げた研究対象国、研究項目を調査しつつ吟味した結果、対象国に昨年度韓国を加えたのに続いて台湾を追加、研究の焦点を絞り込んだ結果、研究項目の一部削除を含む整理ができた。3.国内外の研究協力者が参加した国際会議が成功裏に開催できた。
昨年度に研究推進方法の一部を変更したが、その結果、研究推進が非常に効果的に図られるようになった。本年度、次年度も同様な方法によって研究を推進することとした。その主な点を2つ摘記する。1.国際会議を開催し、そこに招聘した海外の研究協力者を当該国のキーパーソンとして活用することによって、その協力者の知識/能力/人的ネットワークを活かすことができ、研究の幅、深さ、スピードが向上した。2.調査対象国を調査の進捗と共に変化させること、調査対象国以外の人的ネットワークを活用すること、これらによって、より広い視野で調査・研究にとり組むことができた。
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Proceedings of Joint CIB International Symposium of W055, W065, W089, W118, TG76, TG78, TG81 and TG84, International Congress on Construction Management Research, (MCrp2012), Montreal, CANADA
巻: Volume1 ページ: 37-48
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日本建築学会 第28回建築生産シンポジウム(京都)論文集
巻: 第28回 ページ: 135-142
建設物価調査会 総研レポート
巻: 第7号 ページ: 59-65