研究課題/領域番号 |
23246109
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
才田 淳治 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (20359540)
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研究分担者 |
今福 宗行 東京都市大学, 工学部, 教授 (00183012)
鈴木 裕士 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10373242)
佐藤 成男 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40509056)
伊藤 恵司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80324713)
菖蒲 敬久 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90425562)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金属ガラス / 非平衡材料 / 機械的性質 / 変形機構 / 局所構造 / モデリング |
研究概要 |
平成24年度は当初計画のとおり2つの課題を推進し、以下のような成果を得た。 ・金属ガラス/セラミックスナノコンポジットの内部応力状態の解析 Zr基金属ガラス中にin-situ反応析出させたZrC-ZrAlNiCu金属ガラスナノスケールコンポジットを用いて、ZrCの回折ピークの微細変化をマーカーとして応力状態を解析し、ガラス相および分散相両方の変形機構を考察した。本課題は23年度からの継続的な研究である。その結果、応力によって4つの塑性変形状態があること、応力は母相ガラス相とZrCの両相で分担され、分散するZrCが破壊するのにともなって試料全体が破断すること等の知見を得た。ガラス/ナノコンポジットの変形・破壊挙動を明らかにした本成果はScripta Materialiaの2012年5月号に掲載された。24年度は上記材料を構造緩和させた後に応力を加え同様の変形・破壊挙動を調査する予定であったが、放射光X線等のマシンタイムの関係で解析実験を行うことができず、試料作製のみにとどまった。25年度以降に評価する予定である。 ・金属ガラス単相材の内部応力状態解析 ガラス単相材の応力状態および変形機構をインライン型高精度引張り試験機を用い、SPring-8量子構造物性解析ライン(BL22XU)においてin-situ解析研究を実施した。Zr-CuおよびZr-Ni2元系金属ガラス薄帯の引張り応力下での第1ハローピークから計算される平均の変形量がともにひずみゲージで測定されるマクロ変形量とほぼ一致することを明らかにした。しかしながら、各原子ペアの局所変形量はZr2Ni相と相関するプリズム構造が発達した局所配列を有するZr-Ni合金の方が、二十面体構造を中心にした均一性の高いZr-Cu合金よりも小さいことが示唆された。これらの現象について、局所原子配列および自由体積の面から今後考察を行うことにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属ガラス単相材およびナノコンポジット材の変形機構の微細解析については、放射光X線等を利用することでほぼ順調に遂行できている。25年度も上期にZr-Cu-Al3元合金を用いた解析実験を実施する予定である。しかしながら、24年度に基礎的解析を実施する予定であった変形機構のモデリング(シミュレーション)については該当する放射光実験課題が選定されなかったため実施できなかった。25年度以降に新たな研究計画を立てて遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の根幹をなす放射光X線等を用いた金属ガラス材料の変形機構の微細解析は、必要な実験機材の導入や試料作製も終えており、25年度以降も継続的に実施する予定である。特に、ガラス形成能と変形にともなう局所環境遷移の相関について新しい知見を得るべく、実験を遂行する。現在までに主に2元ガラス合金を中心に評価をしてきたが、25年度以降は3元系合金、4元系合金での評価を進めて、特異原子クラスター等の局所構造や自由体積あるいは局所不均質構造といった視点からガラス合金の変形や破壊挙動の統一的理解を進めていくことにしている。 変形機構のモデリングについては引き続き放射光実験課題への申請を行うが、平行して中性子回折またはラボX線等の解析ツールも検討し、遅滞なく研究を遂行できるように研究分担者と協議を行っている。
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