研究課題/領域番号 |
23246114
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小松 高行 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60143822)
|
研究分担者 |
本間 剛 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70447647)
|
キーワード | レーザー結晶化 / 酸化物ガラス / 結晶成長 / 単結晶ライン / エピタキシャル成長 / 非線形光学結晶 / 第二高調波発生 / ラマン散乱スペクトル |
研究概要 |
ガラスは熱力学的に非平衡状態であり、ガラス転移温度以上に加熱することによって構造緩和、相分離、結晶化が誘起され、これらの構造変化を自在に操作することによって新たな機能の発現を可能にするハイブリッド材料として生まれ変わる。本研究は、申請者らが開発したレーザー誘起結晶化法をガラスに適用し、本手法の基盤技術を創出すると共に、レーザー照射領域での結晶成長機構を解明して、従来の結晶成長概念にブレイクスルーをもたらす新たな結晶成長工学を構築することを目的とする。本年度得られた結果を以下に示す。 (1)レーザー走査ステップ幅を狭くして、レーザー照射部分を十分重ね合わせることによって、高い結晶配向性を示す光非線形性結晶β-BaB_2O_4の平面型二次元パターニングに成功した。結晶配向は直線偏光マイクロラマン散乱スペクトルおよび第二高調波強度の角度依存性の測定から実証した。レーザー走査方向と結晶成長方位の関係は、交差結晶ラインをモデルとしてパターニングし、交差部分および近傍の結晶成長挙動を調べることによって明らかにした。成長する結晶の方位はレーザー走査方向には無関係で、結晶それ自身の優先結晶成長方位が常に現われることを実証した。エピタキシャル結晶成長の可能性があることを提案した。(2)レーザー誘起結晶化法は、基本的にガラス表面での結晶化であるが、レーザー光の焦点をガラス表面から内部へと移動させることによって、ガラス内部へもBaB_2O_4結晶のパターニングできることをガラスファイバーにて実証した。これらの成果は、ガラスとレーザーの組合せだけで、二次元および三次元の結晶を自在にパターニングできることを示しており、機能性材料創製および結晶成長分野に多大なインパクトを与えるものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ガラス表面上に二次元パターニングを行い、レーザー走査方向と結晶成長方位の関係についてその基本が明らかにされ、エピタキシャル成長の可能性が提案された。ガラス内部にも結晶のパターニングが可能であることが実証され、本技術の飛躍的展開が大きく開けた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、透過型電子顕微鏡観察を行い、原子レベルでの結晶形態および配向を明らかにし、二次元結晶パターニングでのエピタキシャル結晶成長の実現、ガラス内部(ファイバー等)への単結晶パターニングを行い光増幅(希土類ドープ結晶のパターニングなど)や光変調(第二高調波発生と光の閉じ込め)を目指す。これらの研究推進により、本技術のさらなる優位性が明らかになり、また、革新的かつ先導的な結晶成長工学の構築につながる。
|