研究課題/領域番号 |
23246116
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, グループリーダー (80354413)
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研究分担者 |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主幹研究員 (20343840)
山田 貴壽 (独)産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (30306500)
宮川 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導物性ユニット, 主任研究員 (40552667)
中山 敦子 新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 准教授 (50399383)
川村 史朗 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主任研究員 (80448092)
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キーワード | 結晶成長 / 六方晶窒化ホウ素 / 遠紫外線発光 / 高圧合成 / 反応性溶媒 |
研究概要 |
本研究は、高品位六方晶窒化ホウ素(hBN)単結晶の創製と新たな機能発現として、(1)遠紫外線発光特性の高効率化、(2)半導体特性、(3)グラフェン用基板特性の制御を目的としている。 これを実現するためには、高品質・大型のhBN単結晶創製と共に、不純物の添加・制御手法を確立することが必要である。そこで、本研究は既存の高純度hBN単結晶の合成技術を更にもう一段進め、更なる高純度化と、より大型の結晶作成のための(1)合成プロセスの高度化、制御された不純物の添加による(2)ドーピング技術の開発、得られた高純度結晶と不純物を添加した結晶の特性評価による新たな(3)機能発現と制御、の3要素により構成される。 H23年度の主たる研究概要を以下に示す。 ・高品位単結晶合成と評価 新たに10気圧までの高窒素ガス圧炉(高純度化のためにタングステンメッシュヒーターを用いて、炭素フリーとする)を導入した。hBN結晶の主たる不純物である炭素及び酸素は、現状の高純度結晶で数10ppm程度であり、本装置の導入によりにこれを100ppb以下のレベルにまで低減した上で、合成条件の最適化により、5mm程度までそのサイズを拡大したい。 ・グラフェン基板材料としての応用の観点では、hBN-グラフェン積層構造を構築する上での最適な熱処理法(アルゴン-酸素、及びアルゴン-水素中による450℃程度のアニール条件など)を明らかにした。 ・不純物制御と特性発現を目指し、水素ガス圧下におけるhBNの圧縮挙動をダイヤモンドアンビルセルにより観測した。類似構造を有するグラファイトの圧縮挙動との差違を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超高圧法によらずに高品位hBN単結晶を合成する上では金属系(Ni-Mo合金など)溶媒を用いるが、窒素溶解度が小さいことにより成長速度が小さいことが問題であった。H23年度この問題を解決するために、10気圧までの高窒素ガス圧下での結晶成長を行える環境を整えた(炭素フリー環境)。当該装置は長年の懸案であり、その稼働条件の最適化は次年度に引き続くが、これにより結晶成長の大型化に挑める。
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今後の研究の推進方策 |
高窒素ガス圧(10気圧、炭素フリー)下、結晶成長装置により、高品位hBN単結晶の大型化に挑む。また、グラフェンデバイス基板としての応用では、引き続き国内外の研究機関との連携研究を通じて、点欠陥・残留不純物の特定・評価を行うと共に結晶品質の更なる高品位化を目指す。 また、高水素ガス圧下(数千から数万気圧)におけるhBN単結晶の圧宿挙動を、X線構造解析、ラマン分光法により評価し、hBN層間における水素との相互作用を明らかにする。これにより、hBN単結晶の水素吸蔵特性を検証する。
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